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海外記者が見た「日本の中居報道」に潜む異常さ サルを追いかけるのにはヘリコプター使うのに

東洋経済オンライン / 2025年1月20日 8時0分

メディア業界のトップに女性がいるフランス

欧米ではメディア側による性問題に対する姿勢も大きく変化している。

フランスでは、政府がテレビ業界における性的問題の解消に踏み切った。「すべてのテレビスタッフは、性犯罪に関する簡単な研修を受けなければならず、従わない場合は公的補助金を受けられない」と、フランスのテレビ業界における複数の性犯罪スキャンダルを明るみにしたテレビプロデューサーのアンソニー・デューフォーは話す。

「不適切な方法で体を触られないように、モニターを大きくするよう求めるなど、少しばかげていることもあるが、メッセージは明確だ」

「変化が起きた最大の要因は、メディアで権力の座につく女性が急増したことだ」とデューフォーは加える。フランスのNHKであるフランステレビは、2015年から女性によって運営されている。フランスで最も人気のある捜査番組の責任者は女性だ。ネットフリックス・フランスのトップは女性である。

一方、アメリカでは2017年にアメリカのテレビ界で最も有名なキャスターであったマット・ラウアーが身元不明の女性からセクハラ被害を訴えられた際、NBCニュースの人事・法務部はこの女性の代理弁護士と面会し、すぐさま調査を実施。申し立ての24時間後には人気番組を20年間担当していたアウラーは解雇された。

同日、『ニューヨーク・タイムズ』紙や『バラエティ』は、匿名ではあるが信頼性の高い数十件のインタビューに基づく同様の証言を報道している。

日本のメディアが今しなければいけないこと

フジテレビの港浩一社長は1月17日の会見で、2023年6月にはすでにこの問題の存在を知っていたが、被害者を「守る」ために行動を起こさなかったと主張した。

だがこの時点でフジテレビがNBCのように行動していれば、日本にとっていい前例となっていたかもしれない。従業員など利害関係者は守られ、株主は企業価値やブランドの毀損に伴う損失を回避できただろう。

今からでも遅くない。報道機関としての側面もあるフジテレビ、そして日本のほかのメディアも行動を起こすことはできる。

なぜ被害者はフジテレビの上司から可能な限りのサポートを受けられなかったのか?なぜ彼女は辞職したのか?フジテレビは彼女を引き留めるために最善を尽くしたのか?なぜフジテレビは中居を呼び出さなかったのか?このような問題を二度と起こさないためにはどうすればいいのかーー。メディアとして探らなければならない問題は山ほどあるはずだ。

(敬称略)

レジス・アルノー:『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

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