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海外記者が見た「日本の中居報道」に潜む異常さ サルを追いかけるのにはヘリコプター使うのに

東洋経済オンライン / 2025年1月20日 8時0分

しかし、どうだろう。中居のような大スターによるテレビ関係者への問題が明らかになると、メディアの真実に対する欲望は突然消え去ってしまう。

文春は1999年の時点でジャニー喜多川の恐るべき犯罪を報道し、その後名誉毀損裁判で勝訴した。しかし、フジテレビや主要メディアは数十年にわたってこの報道を無視し、ジャニー喜多川の暴走を止めることをしなかった。

「ジャニー喜多川の犯罪はすべて文春の報道に書かれていたのに、誰も何もしなかった」と、うんざりした様子で語るのは、アメリカ大手メディアの元日本支局長である。BBCの日本語が不自由なジャーナリストが世界に真実を明らかにしたのだ。

それでも、その後の記者会見では、主要メディアの最大の関心事はジャニーズ事務所を"安楽死"させるのではなく、いかにして延命させるかにあったようにみえた。

ジャニーズ問題の時もそうだが、国内よりも海外のほうがずっと敏感に反応し、憤慨している。

1月14日、フジ・メディア・ホールディングスの大株主であるアメリカの投資ファンド、ダルトン・インベストメンツの関連会社であるライジング・サン・マネジメントは、国内メディアが決して要求しなかった説明を求める痛烈な書簡をフジ・メディアHDに送り、第三者委員会の設置を要求した。

「貴社株式の7%以上を所有する大株主として、憤りを禁じ得ない事態」と書簡には書いてある。ダルトンのような株主を現代の「総会屋」と見る人もいる。しかし、彼らは日本のメディアが束になってもできないような、公共の利益を実行しているのだ。

外圧によってしか動かない日本の企業とメディア

ライジング・サンが書簡を送ったことが明らかになった翌日の16日、フジテレビは社長の会見を決めた。またしても「外圧」によって当事者が重い腰を上げたことになる。

ところが、その会見は「記者クラブ」だけに向けたものであり、フリーの記者は排除され、その模様を映像で撮影することも認められなかった。フジテレビはこの期に及んで、真実へのアクセスを積極的に制限することを選択し、参加した記者たちはその問題点を指摘しつつも、結局はフジテレビの意向に沿った会見が開かれたのだ。

フジテレビと記者たちは自分たちの職業と国民を裏切っている。民主主義が機能している国なら、このようなあからさまな公共的価値のある情報への制限はありえない。メディアと記者クラブ会員、そしてメディア業界の恥を晒すも同然のことだ。

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