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できる人ほど「仕事の道具選び」に妥協しない理由 「よい道具」は使い続けることで進化していく

東洋経済オンライン / 2025年1月21日 18時0分

同じ道具でも、使い手によって全く異なる表現が可能になるのは、まさに道具と人との深い対話があるからです(写真:shortstop6/PIXTA)

茶道や武道の「稽古」と聞くと、敷居が高く古めかしいというイメージがあるかもしれません。しかし、多くの経営者は多忙にもかかわらず、稽古に打ち込んでいます。稽古にはリフレッシュ効果があるだけなく、健康、審美眼、創造力、問題解決力、コミュニケーション力などが高まるからでしょう。

稽古は、AIが持っていない「身体」と「感性」を活かして高度な知性を発展させる方法であり、今むしろ「最先端」なのです。

30年近くにわたり芸術・デザイン・ファッションを通じたブランド戦略に多数関わり、日本文化の魅力を伝えてきた梅澤さやか氏の新刊『エグゼクティブはなぜ稽古をするのか』をもとに、仕事や人生を豊かにする習慣を3回にわたり解説します(今回は2回目)

野球選手がバットを選び抜く理由

日本文化では、稽古と道具は切っても切り離せない深い関係にあります。

稽古をする人は、道具を通じて先人の知恵や技に触れ、それを自分のものとしていきます。そこでは、道具を知り、道具と向き合うこと自体が重要な学びのプロセスとなるのです。

これは茶道や書道に限った話ではありません。

メジャーリーグで活躍したイチロー選手は、「道具を大切にすることが、うまくなることにつながる」と語りました。この考えは、良質な道具を使用するだけでなく、その道具を使ってどのように稽古をして上達していくかの重要性を示しています。

イチロー選手は、自身のバットに入念な手入れを施し、その重さや質感を常に意識することで、バットの微細な変化にも敏感になっていったといいます。

このように道具を大切にすることは、道具への感度を高め、やがて道具が自分の体の一部となって、より高度な技を可能にしていくのです。

イチロー選手のこの思想は、野球に限らずさまざまな分野に適用できる、日本文化に根ざした普遍的な考え方といえるでしょう。

優れた道具は、その使用感や使用した時の効果を十分に考慮して作られています。自分の現在の技量よりもやや高度な道具を使用することで、新たな学びや成長の機会を得られるのです。

また、優れた道具は使い手の技量を映し出す鏡のような役割も果たします。同じ道具でも、使い手によってまったく異なる表現が可能になるのは、まさに道具と人との深い対話があるからです。

道具は単なる物体ではありません。書道の筆や墨、茶道の茶碗や茶筅、剣道の竹刀など、それぞれがかけがえない自然から生まれた文化や技の結晶です。

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