トランプ政権発足、対峙する石破首相に今必要な事 フラット化の時代から「逆戻り」する世界
東洋経済オンライン / 2025年1月21日 10時0分
アメリカのトランプ氏が1月20日に大統領に就任し、新政権が動き出した。アメリカが主導してきた冷戦後の世界では、市場経済と民主主義が広がり、インターネットの普及と相まって平和で豊かな「フラット(均等)化」の時代に入ると期待された。
だが、現実はそうはならなかった。ウクライナ侵略を続けるロシアをはじめ、民主化を抑え込もうとする強権国家が台頭し、ネット空間ではフェイクニュースがあふれ、「テックビリオネア」と呼ばれる大富豪を生み出した。トランプ政権は世界の分断と対立をさらに深めるのか。その世界に日本はどう向き合うべきかを考えてみたい。
「フラット化する世界」は反響を呼んだが…
「フラット化する世界」は、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、トーマス・フリードマン氏が、2005年刊行の著作(邦訳は2006年刊)で指摘し、大きな反響を呼んだ。
ソ連と東欧の社会主義国が崩壊した冷戦終結後の世界では、ヒト、モノ、カネが国境を越えて移動し、市場経済が定着。自由な言論に基づく民主主義も広がる。インターネットの普及で情報も世界中に瞬時に伝わり、民主化を加速。世界中が同じ情報を共有し、経済発展の機会も平等になっていく。そうした現象をフリードマン氏は「フラット化」と呼んだ。
しかし、世界の動きは単調ではなかった。
2008年には、アメリカの投資銀行、リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した金融危機で世界経済が急失速。民主主義国ではない中国が巨額の財政出動に踏み出し、危機克服に貢献した。
2009年に発足したアメリカのオバマ政権は中国に対して融和的な「関与政策」をとったこともあり、中国は東アジアなどで軍備拡張をじわじわと進めた。オバマ大統領は、8年の在任期間の後半では対中強硬策に軌道修正するが、中国の軍事的・経済的台頭を抑えることはできなかった。
2014年には、強権国家の代表であるロシアがウクライナ領のクリミアに派兵して一方的に併合。アメリカや日本が加わるG7などがロシアに対する経済制裁に踏み出したが、日本の安倍晋三首相(当時)がロシアのプーチン大統領と会談を重ね、親密さをアピールするなど、西側各国の足並みはそろわなかった。中国とロシアの動きは、アメリカ主導の民主主義の拡大にブレーキをかけることとなった。
アメリカがグローバル化に逆行
2017年に発足した第1次トランプ政権は、移民の流入を阻止するためメキシコとの国境に壁を建設する計画を推進。TPP(環太平洋経済連携協定)からの脱退など、アメリカ自身がグローバル化に逆行する動きを強めたのである。
この記事に関連するニュース
-
産経などが米大統領補佐官と会見 北は「深刻な脅威」 露朝協力深化で次期政権と対応協議
産経ニュース / 2025年1月11日 14時47分
-
トランプ新政権の日本への意味とは その4 孤立主義ではない
Japan In-depth / 2025年1月9日 11時21分
-
トランプ新政権の日本への意味とは その4 孤立主義ではない
Japan In-depth / 2025年1月9日 11時0分
-
あの戦争、あの紛争はバイデン時代に始まった…橋下徹「なぜ西側リーダーは"トランプ大統領"でなければならないか」
プレジデントオンライン / 2025年1月6日 16時55分
-
米抑止力の復活「2025年を占う!」国際情勢
Japan In-depth / 2024年12月30日 14時13分
ランキング
-
1トランプ氏就任式に見た「男社会」への揺り戻し ビリオネアも民主党重鎮もいつの間にか"迎合"
東洋経済オンライン / 2025年1月21日 14時0分
-
2元フジテレビの神奈川・黒岩祐治知事、女性社員絡む接待「うわさでも聞いたことない」 社長会見には「がくぜん」
カナロコ by 神奈川新聞 / 2025年1月21日 14時5分
-
3外相、大統領就任式に初出席 「新政権が日米関係重視」
共同通信 / 2025年1月21日 16時35分
-
4被害者は“別人と間違われて”刺されたか 容疑者のマレーシア人「現場近くの住人を襲撃するよう依頼され来日」 兵庫・芦屋市
MBSニュース / 2025年1月21日 12時15分
-
5フジテレビの“中居会見”だけじゃない…石丸伸二の記者会見にも共通する“偉そうなオールドメディア感” とは?「記者を選別、肝心なことは言わず…」
文春オンライン / 2025年1月21日 6時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください