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トランプ政権発足、対峙する石破首相に今必要な事 フラット化の時代から「逆戻り」する世界

東洋経済オンライン / 2025年1月21日 10時0分

2020年の大統領選では民主党のバイデン氏がトランプ氏を退けた。しかし、バイデン政権はアフガニスタンからのアメリカ軍撤退で混乱するなど外交の立て直しは進まなかった。その足元を見透かしたロシアのプーチン大統領が2022年2月、ウクライナ侵略を強行。ウクライナの懸命な抵抗と西側諸国の支援によってロシアの侵攻は食い止められているが、和平への道筋は見えていない。

中国はロシアの立場を支持。北朝鮮は派兵し、ロシア軍とともにウクライナ軍と交戦するなどロシア・ウクライナ戦争は東アジアの国際関係にも影を落としている。

2023年10月に始まったパレスチナ・ガザ地区の紛争は、イスラム組織・ハマスによるイスラエルへの攻撃が発端だが、イスラエル側の大規模な反撃によって多くの民間人犠牲者が出ている。冷戦後に進んだ市場経済の広がりや民主化の流れ、平和構築などにブレーキがかかり、フラット化は逆戻りしているように見える。

インターネットは1990年代以降、世界のフラット化を推進してきた。アメリカのカリフォルニア州を中心に若い起業家が次々と新しいネットビジネスを立ち上げ、GAFAMという巨大企業群に発展した。世界中で自由に情報にアクセスできるようになったことから、ネットは民主主義に貢献し、格差の是正につながるものとして歓迎された。

だが、近年はGAFAMなどの寡占、独占が進んだ。その結果、X(旧ツイッター)を所有するイーロン・マスク氏ら、ネット事業で巨万の富を手にする「テックビリオネア」が出現。格差是正どころか、格差拡大の象徴となっている。マスク氏はトランプ氏の選挙を全面支援。巨額の資金提供も行った。トランプ政権では政府効率化省のトップに就任する予定だ。

アマゾン創業者のジェフ・べゾス氏が買収したワシントン・ポスト紙は、大統領選でハリス副大統領(民主党)を支持する社説を準備していたが、べゾス氏が掲載を見送らせたことも明らかになった。テックビリオネアによる言論支配も進んでいる。バイデン前大統領は退任演説で、テック企業の巨大化に関連して「テック産業複合体の台頭はアメリカに現実的な危険をもたらす恐れがある」と懸念を表明した。

市場原理重視から国家の介入拡大に転換

冷戦後のアメリカは、大きな政府志向だった民主党のクリントン大統領が「大きな政府の時代は終わった」と宣言するなど「小さな政府・規制緩和」の路線を進んだ。

それが、同じ民主党のオバマ大統領が医療保険制度の拡充に踏み出し、バイデン大統領は半導体企業に巨額の補助金を支出するなど「大きな政府」に回帰した。経済安全保障を理由に日本製鉄によるUSスチール買収を阻止する決定を下したのも、バイデン大統領だった。

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