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消える「伝統的気動車」ハイブリッドに交代の背景 メンテナンス性向上、「税制面の優遇」も利点?

東洋経済オンライン / 2025年1月21日 6時30分

JR東日本が2025年度下期に営業運転を開始する予定のハイブリッド車両「HB-E220系」。1両仕様と2両編成仕様がある(画像:JR東日本提供)

自動車の世界ではエコカーとして定着したハイブリッド車。鉄道でも近年、エンジンによる発電とバッテリーを組み合わせたハイブリッド式気動車(ディーゼルカー)の導入が増えてきている。

【はじめに写真を見る】いつの間にこんなに増えた?日本各地を走る「鉄道のハイブリッド車」。一方で轟音を響かせパワフルに疾走する「伝統的気動車」は姿を消している

すでにJR各社で活躍しているが、新しい動きとしてはJR東日本が2024年11月、高崎・盛岡エリアに新型の「HB-E220系」を計32両投入すると発表。八高線や東北本線、釜石線で2025年度下期から営業運転の予定だ。

環境性能の面で従来型の気動車より優れていることは容易に想像がつくハイブリッド式気動車。だが、それ以外にも従来の気動車にない利点があるようだ。どのような観点で鉄道各社はハイブリッド車を導入しているのだろうか。

じわじわ増加「ハイブリッド式気動車」

初の営業用ハイブリッド式気動車が運行を開始したのは2007年。JR東日本が小海線に投入した「キハE200形」で、これは日本のみならず世界初の営業用ハイブリッド気動車だった。

【写真】長崎エリアで活躍するJR九州のYC1系や特急「ひだ」などに使われるJR東海のHC85系、世界初の営業用ハイブリッド気動車であるJR東日本のキハE200形など、全国各地を走るハイブリッド式車両

その後、2010年には観光列車タイプの車両として「HB-E300系」が登場。長野エリアの「リゾートビューふるさと」をはじめ、秋田や青森、新潟地区で活躍している。2015年に運行を開始した、仙台―石巻間を東北本線と仙石線経由で結ぶ「仙石東北ライン」にも、電化方式の違う両線を直通する車両としてハイブリッド車のHB-E210系が投入された。

他社でも導入例は増えている。JR九州は2020年3月から「YC1系」を長崎地区に投入。佐世保線や大村線、長崎本線など同地区の非電化路線は従来型の気動車からハイブリッド気動車による運行に切り替わった。

JR東海も2022年7月以降、特急「ひだ」「南紀」にHC85系を投入している。意外なところでは、JR西日本のクルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS瑞風」もハイブリッド気動車だ。

【写真】「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」貴重な製造中の様子

ハイブリッド式の気動車は、エンジンによって発電し、その電力でモーターを動かすとともに、余剰電力や回生ブレーキで発電した電力をバッテリーに貯めて使用する。一方、バッテリーを搭載せず、エンジンで発電した電力でモーターを動かす「電気式気動車」もある。バッテリーを搭載しない電気式気動車のほうがシステムとしては簡便だ。JR東日本は2018年からこの方式の気動車「GV-E400系」を新潟地区や秋田地区に導入している。

「税制面の優遇」もある

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