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「フジテレビ問題」の根源は"経営不在"にある 2010年代から「一人負け」に陥ってしまった

東洋経済オンライン / 2025年1月21日 9時20分

驚くべきことに、フジテレビは中期経営計画を発表していなかった。つまり、「経営」と呼べるものが存在しない企業なのだ(写真:usapan/PIXTA)

中居正広氏のトラブルに端を発した問題は、1月17日(金)のフジテレビ港浩一社長会見の大失態によって「フジテレビ問題」に移行した。フジテレビ自身を含む各テレビ局の厳しい批判報道で、社長会見がいかに不遜だったかがあっという間に広まった。土日の間に大手広告主がCMを差し替えることが報じられ、実際にフジテレビのCMでACジャパンが増えた。

【画像】フジテレビの売上高は、2014年度から2023年度までに約23%もダウン

差し替えた広告主は日本生命、明治安田生命に始まってトヨタ、NTT東日本へと広がり、日曜日には花王、第一生命、日産の名も挙がった。そのスピードに驚くほかはない。

第三者委員会による調査を開始するとの発表だったが、その結果がどうであれ港社長の責任が問われるのは間違いないだろう。

90年代から続く経営体制

だがここで私が指摘したいのは、「フジテレビ問題」の根源だ。今回はフジテレビ内で社員にタレント接待を強制させる悪弊が問題視されている。

そこには、90年代の全盛期から何ら変わることのない企業文化がうかがえる。そうなるのは当然で、フジテレビはそもそも90年代からまったく体制が変わっていない。ガバナンスがないも同然で経営が体を成していないことがすべての問題の底流にある。

問題は売上高に顕著に出ている。フジテレビは2000年代まで長年にわたり売上高が断然トップだった。テレビ業界がフジテレビの圧倒的一強であることはよく知られていた。他局は争うより素直に負けを認め、リスペクトさえ表明していた。

ところが2011年に視聴率三冠王(期間中6〜24時、19〜22時、19〜23時のすべての平均視聴率がトップになること)の座を日本テレビに奪われてから状況が変わってきた。それまでは三冠王を日本テレビに取られても売上高では圧勝し続けていたのが、2010年代はみるみる下がっていった。時代の変化に何ら対応しなかった経営不在の表れだ。

2023年度までに売上高は約23%もダウン

グループ連結売上だとテレビ局自身の業績が見えないので、決算資料から単体売上高の数字を取り出してこの10年間の推移を比べてみた。

テレビ離れの逆境の中にあって他のキー局は増えることはないものの大きく売上高を減らさず踏ん張っている。ところがフジテレビだけはどんどん売上高を減少させ、2014年度から2023年度までに約23%もダウンしていた。一強だったフジテレビが一転し、「一人負け」に陥ったことが明確だ。

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