わずか3年で3割値上げ「大戸屋ランチ」変化の実情 物価高の時代、庶民の味方は今もコスパ最強だ
東洋経済オンライン / 2025年1月22日 8時50分
カボチャのコロッケに鶏の竜田揚げが3個に大根おろし、冷凍させたタレ付け卵黄こと「きみだま」、キャベツスライスにトマトが添えられたメインの一皿にごはん、味噌汁、漬物という内容だ。
この「大戸屋ランチ」はメニュー改定のたびに内容がコロコロ変更されている。
昔はコロッケはカボチャではなくジャガイモだったり、「きみだま」ではなく目玉焼きがのっていたりした。
その後も、付け合わせの野菜の種類が変わるなど幾度となくマイナーチェンジを繰り返し、現在のかたちになっている。
コロッケに関しては一般的にジャガイモよりもカボチャのほうが食材原価は高く、この点はバージョンアップとなる。ごはんのおかずとして甘いカボチャがいいのかジャガイモがいいのかは個人の嗜好により賛否が分かれそうだ。
卵が目玉焼きから「きみだま」に変わったのは見た目にも大きな変化だ。目玉焼きはオーダー後に卵を割って焼く必要があり、オペレーションの負荷が大きい。あらかじめ仕込んである「きみだま」であれば提供時間を短縮できそうだ。
豊富な品揃え、店内調理で1000円を切る超良心的価格
その他、大戸屋で1000円を切っているメニューに「鶏と野菜の黒酢あん」「チキンかあさん煮」(各990円)などがある。
内容や調理の手間を考えるとこの価格は良心的だ。これらは昔からある大戸屋の定番商品で、「大戸屋ランチ」と同様にファンも多い。
やはり、昔からある商品はもともとの値段が人々の印象にあるため「値上げした」という事実が大きく響き、なかなか大きな値上げができない。
一方で新しく登場した商品であれば多少高くとも「そういうもの」と受け止められる。
実際に、「梅おろしチキンカツ」「豚と野菜の黒酢あん」など、以前の人気メニューが姿を消している。代わりに登場した商品は比較的高めの値段に設定されているものも多い。
このように商品を入れ替えることでじわじわと客単価の底上げがされている。
なお2019年には一度「大戸屋ランチ」がメニューから消えたものの、ファンからの反発によりすぐ復活した経緯もある。お客にとっては嬉しい高コスパ商品も、大戸屋側からしたら値上げの足かせになっている可能性は否定できないだろう。
とは言え、昨今の物価高を踏まえると、いまだに大戸屋で1000円を切る定食が多いことは驚くべきことだ。吉野家や松屋のような牛丼チェーンですら1000円超えの定食を出す今、良心的すぎると感じる。
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