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物価上昇きついのに「デフレ脱却宣言」出ない理由 2001年に政府が発表してからいまだ脱却できず

東洋経済オンライン / 2025年1月22日 9時40分

(写真: sasaki106/PIXTA)

近所のスーパーへ買い物に出かけると、「値段が上がったなぁ」と感じることが多いのではないでしょうか。スーパーの入り口付近は生鮮食品売り場であることが多く、キャベツやトマトなどの野菜は、数カ月前と比べて数倍の価格になっているものもあります。

【画像でわかる】政府がデフレ脱却の判断に使う指標の中身

入り口で野菜の値上がりを実感すると、ほかの商品についても値上がりが目につきやすくなります。カレールウもそうした商品の1つで、ここ1、2年で1割か、それ以上は値上がった印象です。

このように、幅広い食料品の値上げが生活を直撃するため、私たちは「物価高」を身近に感じます。

なぜ「デフレから脱却していない」のか

一方で、政府は依然として「わが国はデフレから脱却していない」という認識を変えていません。デフレとは「持続的な物価下落」を意味しますが、多くの国民が物価高に悩まされている状況で「デフレ脱却していない」と言われると、違和感を覚える方も多いでしょう。そこで今回は、なぜ政府がデフレ脱却を宣言しないのか、そしてその宣言がいつごろになるのかについて、なるべく専門用語を使わず、わかりやすく解説します。

わが国がデフレに陥っていると初めて政府が発表したのは、2001年3月の内閣府による月例経済報告でした。ここで「緩やかなデフレにある」と述べられたのですが、発表時点で日本経済はすでにデフレ下にあったため、デフレの開始時期がいつだったのかが議論の対象にもなりました。

政府の見方にもブレがあるようですが、最新の年次経済財政報告(2024年度版)によると、「消費者物価(生鮮食品を除く総合)の前年比の下落傾向は1998年夏頃には始まっており、日本経済は1990年代終盤からデフレ状況に陥っていたと言える」と指摘しています。ここから留意すべきなのは、わが国がデフレに陥っても、政府がそれを認めるまで数年のラグがあったことです。

その理由について「政府の景気判断は遅れがち」だと単に批判すべきことでもないでしょう。政府が「デフレ克服」のための政策の必要性を強く認識するには、デフレの恒常化を確認するまで、ラグはどうしても発生してしまうからです。

「生鮮食品を除いた」消費者物価に注目する理由

さて、ここであらためて足元の物価高について考えてみましょう。冒頭で挙げたスーパーの例ですが、野菜に関しては農林水産省が毎月「野菜の生育状況及び価格見通し」をウェブサイトで公表しています。直近(先月25日公表)の情報では、キャベツについて「8月から9月の高温、10月の天候不順の影響…(中略)…12月の低温、干ばつの影響」が挙げられており、目先で価格が下がる見通しは立ちにくい状況です。

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