中居騒動で露呈「日本的組織」の本質的な危うさ フジテレビ「事なかれ」批判は他人事ではない
東洋経済オンライン / 2025年1月23日 8時30分
フジテレビからスポンサーが続々と撤退している。この原稿を執筆している22日15時時点では、CMを差し替える企業が少なくとも70社を超えているという。
【画像】続々と番組降板の中居氏。長年司会をしていた番組から、わずか5行の文章で降板が発表
人気タレントの中居正広氏の「女性とのトラブル」にフジテレビ幹部が関与していたとの週刊誌の報道を受けて、同社の港浩一社長は2月の定例会見を前倒しして1月17日に記者会見を行ったが、そこでの発言がかえって裏目に出た格好だ。
「回答を差し控える」を連発した不誠実な記者会見
参加媒体を記者クラブ加盟社だけに限定し、テレビ局であるにもかかわらず映像配信を認めず、写真撮影も冒頭のみという厳しいルールを敷いた。
会見の内容も、プライバシーや新たに設置する調査委員会に委ねることを理由に「回答を差し控える」を連発し、不誠実と受け取られかねない対応に終始した。
週刊文春の女性アナウンサーによる接待が常態化していたとの記事に関して尋ねられると、「なかったと信じたいと思います」と歯切れの悪い回答だった。
しかも、新たに設置予定の「第三者の弁護士を中心とする調査委員会」は、現時点では日本弁護士連合会がガイドラインで示す「企業等から独立した第三者のみをもって構成される」「第三者委員会」ではないようだ。
23日に開く臨時の取締役会で同ガイドラインに基づく第三者委員会を設置するとの報道も出ているが、真相究明に当たって独立性が担保されるかどうかは依然不透明である。
これを受けて19日には、元朝日新聞記者が有志とともに「記者会見の『やり直し』と、徹底した真相解明を求める」署名をオンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」に立ち上げるなど波紋が広がっている。
表沙汰になるまで問題を"放置"していた疑い
会見で港社長は、中居氏のトラブルを発生直後の2023年6月初旬に把握したと述べた。
そうなると1年以上もの間、何事もなかったように看板番組で中居氏を起用し続け、週刊誌の報道が出るまで"放置"していた疑いが浮上してくる。
つまり、フジテレビはそもそもこの問題を適切に解決しようとする気があったのかという疑念である。
時系列的に見て、まず今回のような週刊誌の報道が発端となり、それに伴って騒動が次第に拡大し、大株主である米投資ファンドからの強い圧力や海外メディアへの波及が国内外で話題になる中で、ようやく重い腰を上げたのではないかと推測せざるをえないからだ。
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