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「創造的破壊」が資本主義を破壊してしまう「逆説」 「イノベーション理論の父」シュンペーター予言

東洋経済オンライン / 2025年1月24日 16時0分

なぜ、資本主義の発展過程では、少子化が進むのだろうか(写真:ELUTAS/PIXTA)

ジョセフ・アロイス・シュンペーターは、「イノベーション理論の父」として知られ、今日もなお、ビジネス界において、人気の高い経済学者である。

【ひと目でわかる】シュンペーターが論じた「資本主義の発展過程で少子化が進む理由」

特に、シュンペーターが、資本主義の発展の原理とした「創造的破壊」という言葉は、非常に有名である。

誤解されているシュンペーター

だが、そのシュンペーターが、資本主義は、創造的破壊による発展の果てに自壊し、社会主義が到来すると予言していたことは、それほど知られていない。

政治家や企業経営者たちが、シュンペーターの名前を引っ張り出してきて、勇ましく「創造的破壊を進めよ」と唱えるようなことがある。

だが、当のシュンペーターは、創造的破壊によって、破壊されるのは「資本主義」であり、創造されるのは「社会主義」だと考えていたのだ。

主著『資本主義・社会主義・民主主義』の中で、シュンペーターは、こう書いている。

資本主義過程はそれ自身の制度的枠組みを破壊するのみならず、また他の骨組みのための諸条件をもつくり出す。したがって破壊という言葉はやはり適当な言葉とはいえない。私は転形として語ったほうがよかったかもしれない(中略)。資本主義構造を下からささえていたあらゆる支柱が消失するとともに、社会主義的計画の不可能性も消滅する。この二つの点においてマルクスのヴィジョンは正しかった。

では、資本主義から社会主義への転換は、どのようにして起きるのだろうか。

「資本主義過程はそれ自身の制度的枠組みを破壊する」というのは、どういう意味なのであろうか。

シュンペーターの説明は多岐にわたるが、ここでは、今日の日本にとって、特に重要な一点に焦点を当てて紹介しておきたい。

シュンペーターは、資本主義の発展過程では、少子化が進展し、それが資本主義を機能不全に陥らせると考えていたのである。

なぜ、資本主義の発展過程では、少子化が進むのだろうか。

少子化が進むと資本主義が崩壊する理由

シュンペーターの議論を要約すれば、以下のとおりである。

◎資本主義を支配する精神は、損得勘定を優先させる合理主義の精神である。
◎合理主義の精神が浸透すればするほど、資本主義は発展する。
◎ところが、結婚して子供をつくり、育てるという営みは、経済合理性だけでは説明できない行為である。
◎家族に縛られることや、親や子の面倒をみるために自分を犠牲にすることは、損得勘定だけで考えれば、割に合わないからである。

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