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池袋西武の全面改装で危ぶまれる25年夏の開業 複雑な構造の建物に対応できず工事に大幅な遅れ

東洋経済オンライン / 2025年1月24日 10時0分

2023年9月中旬、そごう・西武の商品担当者ら幹部は、新たに就任した経営陣たちから呼び出され、こう切り出された。経営陣は着任からまもなく、幹部たちはてっきり池袋西武の現状の説明から始めるのだろうと考えていた。ところが、新経営陣の口から出たのは想像もつかない言葉だった。

厳しいテナント選別

「新たな池袋西武では、ラグジュアリーブランドについては上位10社程度、食料品については上位20社程度に絞って、そのテナントだけを入れる」

2024年9月1日、フォートレスに売却されたそごう・西武は経営陣を刷新、代表取締役社長を務めていた田口広人氏は代表権のない取締役社長に降格、新たにフォートレス日本法人の劉勁氏が代表取締役に就任していた。あわせてそれまで取締役を務めていたそごう・西武出身者は軒並み降格、代わってフォートレス日本法人のメンバーが乗り込んできた形となっていた。一言で言えば、フォートレスが経営サイドに陣取って再建を主導、降格されたそごう・西武の幹部たちは執行サイドで実働を担う体制になったわけだ。

新経営陣は早速そごう・西武の再建に向け、売り場や運営方法に関する計画策定に着手した。なかでも旗艦店である池袋西武にはヨドバシカメラの出店が決まっており、百貨店はこれまでの半分程度の面積で運営しなければならない。そこで飛び出したのが“テナント選別”だった。

事情に詳しい関係者によれば、新経営陣はここのところ売り上げが芳しくない紳士服や婦人服といったアパレル売り場にメスを入れ、売り場面積の大幅縮小を指示。百貨店のメイン商材であるアパレルを、容赦なく切り捨てる方針を示したという。

そのうえで高級ブランドや食料品売り場については、出店しているテナントを売り上げや利益貢献度の大きい順に機械的に並べ、高級ブランドについては上位10社程度、食料品については上位20社程度に絞り込む。そして、それ以下は事情にかかわらずすべて撤退させろとの指示が飛んだというのだ。

百貨店は専門店などと違って独自の世界観がある。また「百貨」の名のとおり、売り場に並んでいるさまざまな商品を比較して買い回りをしたり、ついで買いを楽しんだりする業態である。「それができるのは比較対象となるテナントがあってこそ。“上位”の会社だけの商品を並べるなど、百貨店の常識からしてあり得ない」「百貨店の常識を知らない投資ファンドが机上だけで考えそうなこと」「これではフォートレスが買収時に掲げた“百貨店の再成長”は達成できない」。そごう・西武関係者からはこんな戸惑いの声が上がった。

そごう・西武の苦い過去

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