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池袋西武の全面改装で危ぶまれる25年夏の開業 複雑な構造の建物に対応できず工事に大幅な遅れ

東洋経済オンライン / 2025年1月24日 10時0分

実はテナント選別について、そごう・西武には苦い過去がある。不振に陥っていた西武の静岡店や船橋店において、光熱費などが高止まりして利益率の低かったレストランを閉鎖し、当時、最も利益率が高かった婦人服フロアを増やしたのだ。

ところがレストランがなくなってしまったことで来店客数が減少。その結果、婦人服も売れなくなり店舗全体の売り上げも激減してしまったのだ。こうした経験から、数字だけを見てテナント数を変えると失敗するというのが社内の“常識”になっていた。今回も、もし機械的なテナント選別方針を実行に移すなら、すでに出店しているブランドやテナントの反発は避けられないだろうと思われた。

実際、そごう・西武の売却が山場に差し掛かった際には、改装を終えたばかりのルイ・ヴィトンが「並行輸入品を扱うヨドバシカメラに隣接する場所に出店などできない」「ラグジュアリービジネスは雰囲気と環境が重要。今までどおりの営業を続けたい」などと猛反発。慌てたフォートレスが、ヨドバシカメラ店舗との境界にスペースを設けることや、テナント移設に伴う経費を負担すること、そしてヨドバシカメラで並行輸入品を取り扱わないことなどを提示して、どうにか残留することで合意したという一幕もあった。

そもそもそごう・西武、とりわけ西武百貨店は、「ブランドは切るに切れない関係」(そごう・西武幹部)と言われるほどブランドとの関係が濃密だ。そのため「さまざまなシミュレーションを行って、どうにかして残せないかと新経営陣を説得した」とそごう・西武幹部は明かす。これにはさすがに新経営陣も納得し、50あるブランドすべてを残すことになったという。

数字で管理する体制に

ラグジュアリーブランドの一件では譲歩する形になったが、投資ファンド出身者で固められた新経営陣から見れば、百貨店は非効率の固まりのように映る。そのため新経営陣は、従業員たちの不安をよそに池袋西武に入居していた750のブランドを徹底分析。その結果、ほぼ全ての利益を高級ブランドと化粧品、そして食品が稼ぎ出していたとして、ラグジュアリー、ビューティ、フード、アートの4領域に絞り込み、上位380ブランド(ショップ)を残すという決断に至る。

このようなデータ分析は池袋西武だけでなく、横浜そごうなど残りの店舗でも実施してモニタリングするなど、数字で管理する体制に切り替えるという。

事実、冒頭で紹介した池袋西武に関する説明会でも、劉氏は「(これまでの池袋西武は)すべてのお客さまをハッピーにしようと全領域の売り場を構えて、膨大なコストをかけて百貨店を維持してきた」とし、「今後はデータドリブンで営業投資を決める」と述べている。

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