アップルやNVIDIAがトランプに擦り寄らない事情 擦り寄る企業のビジネスモデルとの違いは何か
東洋経済オンライン / 2025年1月25日 12時0分
2025年1月20日に行われたドナルド・トランプ大統領2期目の就任式は、アメリカのテクノロジー産業の現状を象徴する光景となった。トランプ家のすぐ後ろという閣僚候補よりもいい特別な場所に陣取ったのは、テスラのイーロン・マスク、アルファベットのスンダー・ピチャイ、アマゾンのジェフ・ベゾス、そしてメタのマーク・ザッカーバーグの4人。
【写真】トランプ大統領の就任宣誓式では席次が大きな話題に。特にマスク氏の「左側」に座ったメンツに注目が集まった
海外メディアやソーシャルメディア上では、単なる企業経営者の域を超え、政治権力との密接な関係を如実に示す4人を「テック・オリガルヒ」と呼ぶ声が目立った。
露骨にトランプ政権に接近
「オリガルヒ」という言葉は、少人数による支配を意味するギリシャ語に由来する。特に1990年代、ソビエト連邦崩壊後のロシアで、急速な民営化を通じて巨大な富を築いた新興財閥を指す言葉として知られるようになった。
彼らは経済的な力を背景に政治的な影響力を持ち、ロシアの民主主義の発展を阻害する存在として批判されてきた。現在、同様の構図がIT産業で再現されているという懸念が、特にヨーロッパで強まっている。
実際、トランプ政権はアメリカ主導のAI開発のインフラづくりのためにソフトバンクグループなどから78兆円を超える多額の資金を集め、暗号通貨も後押しすることを大々的に謳っている。
この状況を特に強く警戒しているのは欧州緑グループ・欧州自由連盟(Greens/EFA)だ。就任式の翌日に開かれたデジタルサービスへの規制を行うデジタルサービス法(DSA)についての議論の場で、DSA交渉担当のキム・ファン・スパーレンタークは「真に自由なインターネットとは、一握りのテックオリガルヒではなく、市民がルールを決める場所です」と強い言葉で指摘。
「TikTokやXにおける前例のない外国からの影響」や「FacebookやInstagramを女性やクィアに対する憎悪の場として推進している」といった具体的な問題を挙げ、トランプ政権下の規制緩和が民主主義をさらなる危機に陥れる可能性があると声明を出して警告した。
政権と距離を保つ時価総額トップ3企業
ここで注目したいのが、すべてのテクノロジー企業が同じような立場を取っているわけではないという事実だ。特に注目すべきは、現在の時価総額トップ3企業――NVIDIA、アップル、マイクロソフト――の対照的な姿勢である。
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