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日曜劇場「御上先生」が近年一番の傑作になる予兆 衝撃的だった初回を経て、今後注目すべきポイント

東洋経済オンライン / 2025年1月26日 11時50分

「闇」とはそんなものじゃない

ちなみに、「ミカミ」の「カミ」と神も重なって、「エリート=神に選ばれた」の説得力が増す。御上先生はこの世を救うために神に遣わされた者なのか――。

いまの日本では、国を統べるエリート官僚たちが、神に選ばれたとは思えない惨憺たる言動を繰り広げている。本来なら、それを見張り、批判するはずのメディアが機能せず、記者たちは単なる御用記者に成り下がっている状況を御上は憂う。

御上が担任することになった生徒の1人で、学園の報道部長・神崎拓斗(奥平大兼)は、かつて教師の不倫を暴いたこともあり、正義感にあふれている。今回も御上が不正の天下りの仲介に関与していたため左遷させられたという醜聞を調べあげ、記事を書いて学校中に配る。

もともと、御上にいい印象を持っていなかった生徒たちは、たちまちざわつく。そして、ここからが第1回における白眉の場面であった。

御上先生は、神崎の記事を、確認も取材もしないゴシップ記事と同じと言い、ちゃんと取材して独自の記事を書くべきだと言う。今こそ、自分にちゃんと取材できるチャンスであると神崎に持ちかけ、神崎はスマホの録音アプリを立ち上げて取材をはじめる。

教室で生徒たちが見守る中で、生徒が教師に取材をするのだ。

この場面に付随して御上が語るセリフが冒頭に引用した「そんな簡単に見えるものを闇とは呼ばない」「言ったよね、ほんとうの闇を見たければ僕を手放すな」である。

神崎は、官僚の天下りと関わった者が尻尾切り(左遷)されたことを「闇」と思っていたが、御上は「闇」とはそんなものじゃなく、もっともっと深いものだと示唆する。

官僚の深い闇を、御上は内部に入ることで変えたいと考え、そのためには、官僚の仕草を身につけることも厭わない。はたして、自らも泥にまみれ、それでも染まらず信念を貫き通すことができるのか。

朱に交われば赤くなるのが人の常。でもそうならない、それが神に選ばれたエリートなのではないか。御上は、生徒たちをそんな者に育てようとしているのか。

「殺人事件」や「不倫事件」がどう絡んでくるのか

極めてスリリングな展開なのだが、『御上先生』の驚く点は、そこに冒頭の殺人事件が絡んでくることだ。いや、それだけではない、神崎が暴いた教師の不倫事件も無関係ではないと御上は言う。

殺人事件と御上の不正疑惑と隣徳学院と文科省がすべてつながっているかもしれないと、「バタフライエフェクト」を例にして暗示することで、ドラマ上、御上が神崎にその謎を解くように持ちかけているのと同時に、作り手がこれだけの要素をきっちりキレイに1つにまとめ上げてお見せしますという決意表明でもあるだろう。お手並み拝見である。

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