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全国初「神戸市タワマン空室税」検討で揺れる正論 「廃墟化する」vs「家賃の値下げバトルに」で論争

東洋経済オンライン / 2025年1月27日 10時0分

タワーマンションが建ち並ぶ神戸市の街並み(写真:まちゃー/PIXTA)

神戸市の久元喜造市長が、1月10日、タワーマンションの空室所有者に対して新たに「空室税」を課すことを検討すると表明し、利害関係者の間で大激論になっている。

神戸市は昨年5月1日に「タワーマンションと地域社会との関わりのあり方に関する有識者会議」を立ち上げた。そして、今年1月8日の第4回会議で、「タワーマンションと地域社会との関わりのあり方に関する課題と対応策」 (報告書・概要版)を公表。その中で自治体が独自に課税する法定外税(地方税法に定められた税目以外に、地方団体が条例により設ける税目)として空室税の導入を提案した。

久元市長は10日の会見で、投資目的の購入により空室が目立つ東京のオリンピック選手村跡の「晴海フラッグ」を例に挙げ、「神戸を居住目的の人がマンションを購入できないような街にはしない」との見解を示した。

また、報告書では、高層階になるほど住民登録がない部屋の割合が高いという実態を提示。適正な管理を行うためには、空き部屋の増加を抑制する必要性を訴えた。

これに対し、SNS上では「家賃の値下げバトルになる」などといった批判の声も上がり、導入までには紆余曲折の道が待っていることが予想される。

タワマンのみを対象とした税導入試みは全国初

神戸市では、タワーマンションの建設によって住民が急激に増えると学校などの関連施設も不足しかねないなどとして、すでに、「神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例」で中心部の三宮周辺での建設を規制していた。

タワマンのみを対象とした税を導入すれば全国の自治体で初めてとなるが、所有者が居住していない住居に税金を課す制度はすでにある。国の空き家対策特別措置法のほか、熱海市でも行われており、京都市でも予定されている。ただし、その趣旨や名称は異なる。

日本の不動産課税制度において、土地は住宅を取り壊して更地にすると土地にかかる固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍高くなってしまう。

固定資産税が高くなるのは、「住宅用地特例」という減税制度の特例が適用されなくなってしまうからだ。そもそも、住宅が建っている土地は「住宅用地特例」により、最大で固定資産税は1/6、都市計画税は1/3に減税されている。更地にすることで、この減税制度が適用されなくなるのだ。

しかし、近年は空き家の放置が増大し、この制度が問題視されてきた。何らかの理由により空き家となり、朽ちてきて近隣にも危害を与える可能性があったり、廃墟化が景観を阻害するような状況になる。ただ、それで所有者が建物を取り壊して更地にすると固定資産税が増大することになってしまう。

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