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村上春樹も住んだ男子寮「和敬塾」の濃密な日常 令和でも健在「同じ釜の飯を食う」濃い人間関係

東洋経済オンライン / 2025年1月27日 8時30分

実際に入寮している学生にも話を聞いた(写真:梅谷秀司撮影)

早稲田大学や学習院大学などに近く、高級住宅街としても知られる東京都文京区目白台。ここに1955年に創設された伝統ある男子学生寮「和敬塾」がある。

写真19枚:和敬塾の内部はこんな感じ。小説『ノルウェイの森』のモデルといわれる

約300人の学生が生活し、濃い人間関係を形成。約100人が海外からの留学生と国際色も豊かで、人気作家の村上春樹さんが一時的に暮らしたことでも知られる。

ただ、学生寮としてはトップクラスの知名度があるものの、その実態や実情はあまり知られていない。どんな寮なのだろうか。

写真19枚:和敬塾の内部はこんな感じ。小説『ノルウェイの森』のモデルといわれる

大講堂の入り口にはそうそうたる著名人の直筆色紙が

有楽町線の江戸川橋駅で下車して急な坂を上り、ホテル椿山荘の脇を通って目白通り沿いにある正門にたどり着くと、「和敬塾」という格調高い看板がかかっていた。深い森のように木々が立ち並ぶ敷地内に入って事務所の位置を探すが、なかなか看板や地図がない。仕方なく目に入った食堂の従業員に道を尋ねると、偶然にも食堂と同じ「学生ホール」の建物内にあるという。すると建物の端っこ、非常に目立たない場所に事務所があった

「敷地内は看板が少ないんですよ。見かけた職員や学生に聞いてもらったほうが早いです」。和敬塾常務理事の佐々木良夫さんは笑う。さすがは人とのつながりが濃密と言われる学生寮だ。

和敬塾は旧細川侯爵邸の敷地約7000坪の敷地にあり、前川製作所の創業者である前川喜作が創設。1956年から学生の受け入れを始めた。目白という場所柄、伝統的に早稲田大学の学生が多かったが、東京大学、明治大学、学習院大学などの学生も少なくない。最近は早稲田大で女子学生比率が増えていることもあり、その分他大学の比率が高まっている。

細川侯爵邸だった本館は1936年に建てられた威厳に満ちた建築だ。戦災を免れたため、建物は当時の面影をほぼそのまま残す。和敬塾の開設当初はこの本館に学生が住んでいたが、今は住んでいる学生はおらず、シンポジウムや交流スペースなどに活用されている。

事務所の上にある大講堂の前には、過去に大講堂で講演をした著名人の色紙が飾られている。

まず目に入るのが、カリスマ的な人気を誇った田中角栄元首相の名前である。先日焼失してしまった「目白御殿」と呼ばれた田中邸は、和敬塾と目と鼻の先にある。そのほか、物理学者の湯川秀樹、思想家の安岡正篤、ソニー創業者の井深大、俳優の森繁久弥、元京都大学学長で人類学者の山極寿一などそうそうたる顔ぶれが並ぶ。

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