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4655mの峠越え「タジキスタンの温泉」入ってきた 美しい風景が続くも過酷な道のりに四苦八苦

東洋経済オンライン / 2025年1月29日 11時0分

キルギスの草原から4655mの峠を越えてタジキスタンの温泉をめざす(写真:筆者撮影)

日本は宿泊施設を伴う温泉が約2900カ所、源泉数にいたっては約2万8000もあるという温泉大国である。ほかに温泉が多い国とされるアイスランドやイタリアでも4桁には遠くおよばない。

【写真】タジキスタンにある秘湯「ガラム・チャシュマ温泉」のお湯はこんな感じ

外国であっても、温泉があるとなれば行ってみたくなるのが日本人の性(さが)ではないだろうか。

筆者は2024年8月、平均標高が5000mを超えることから「世界の屋根」とよばれるタジキスタンのパミール高原に乳白色の露天風呂があると知り、入浴してきた。

その温泉への過酷な道のり、そして温泉はどのようなものだったのか、ふりかえってみたい。

キルギスから国境を越えて

パミール高原には、キルギスのオシュからタジキスタンのホルグまで約1400kmのパミールハイウェイが貫いている。ハイウェイといっても1931年に旧ソ連軍が領土南端に軍を送る目的でつくった道路で、いまも未舗装の悪路が多くを占める。

道中は、キルギスとタジキスタンの国境越えがまずやっかいだ。かつては乗り合いの車が存在していたが、両国の関係悪化にともない国境は2021年に閉鎖。2023年から再開したが、外国人しか通過できなくなった。

この国境を通過するのに許可証が必要となるが、Caravanistan.comというサイトの掲示板によれば、指定された4つの旅行会社のいずれかを通じて取得する必要があるという。なぜこの4社なのかは不明であるが、従うしかない。わかるのはメッセンジャーアプリ「Whats App」の連絡先のみだ。

1400㎞のほとんどで、バスなどの公共交通機関は存在しない。そのため、許可証を申請する旅行会社で車をチャーターすることにした。

【写真】タジキスタンの温泉を目指した過酷な旅と美しい風景(13枚)

キルギスのオシュから国境を越えてタジキスタンのホログまでは1日で移動する。妻との2人旅だが、ホログまでは韓国人男性1名と計3名、それにガイド兼運転手の合計4名でトヨタのランドクルーザーに乗り込んだ。1台400ドルだが、見積もりをとった3社のなかでは最も安かった。

オシュの標高は900mあまり。ここから、車は一気に標高を上げて峠道を行く。

草原に点在するユルタとよばれる遊牧民のテントも見当たらなくなり、無人の山岳地帯を進むうち、車はキルギスとタジキスタンの国境の、キルギス側イミグレーション(出入国管理所)に到着した。

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