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弘兼憲史「スーパーのレジ待ち」すら楽しむ境地 「おもしろきこともなき世」も心持ちで変わる

東洋経済オンライン / 2025年1月29日 13時0分

楽しいか、楽しくないかは、「気の持ちよう」で変わるという(写真:takeuchi masato/PIXTA)

マンガ『島耕作』シリーズの作者として知られる弘兼憲史さんの座右の銘は「人生、楽しまなきゃ損!」だそうです。そんな弘兼さんが、シニアライフは神様がくれたボーナストラックだと捉え、残された日々をエンジョイするために実践しているのはどんなことなのでしょうか。

弘兼さんの著書『楽しまなきゃ損だよ人生は』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

「おもしろき こともなき世を おもしろく」感じるために

僕の出身地、山口県(長州藩)が生んだ"幕末のヒーロー"高杉晋作の辞世とされる句があります。

おもしろき こともなき世を おもしろく

すみなすものは 心なりけり

「すみなすものは……」という下の句は、肺結核で病床についていた27歳の高杉が詠んだ上の句に、彼を看病していた女流歌人で、勤王家でもあった野村望東尼(ぼうとうに)が続けたものという説もあります。

解釈はいろいろありますが、上の句だけの意味は、「世の中には面白いことがほとんどないけれど、面白く生きよう」、あるいは「(俺が)面白くしてみせよう」。 

下の句も合わせると、「世の中を面白いと感じるか、面白くないと感じるかは、自分の心持ち次第である」と捉えることができます。

どちらにしても、素晴らしい。まったく同感です。面白いか、面白くないか。楽しいか、楽しくないか――は、"気の持ちよう"、"心持ち"によって大きく変わるのです。

たとえば、名前も知らない若手落語家の独演会に行くことになったとします。「聞いたこともない名前だな。つまらないだろうな。途中で飽きちゃうかもしれない」と思って行けば、案の定、やっぱり面白くない。本当に飽きてしまって、座っている時間が苦痛でしかなかった――ということになるでしょう。

反対に「知らない落語家だけど、どんな噺(はなし)を聞かせてくれるのかな。若い人の芸は新鮮で楽しみだ」と思って行けば、新たな発見があって意外に楽しめる。あっという間に時間が経ったように感じる――そんなものです。

「ちょっといい話」を喜んでみる

高杉が「おもしろき こともなき世」と詠んだように、確かにこの世の中、「おもしろきこと」はなかなかありません。

2024年は、最大震度7の「能登半島地震」が1月1日に発生。記録的な猛暑となった8月には、スーパーから米が消えてしまう「コメ不足」が深刻化し、「令和の米騒動」と呼ばれました。

3年連続で1万品目以上もの食品が値上げするという急激な物価高騰に庶民が喘ぐなか、国会は政治資金パーティーを巡る裏金事件"政治とカネ"問題に揺れ、夏以降はいわゆる「闇バイト」を使って個人宅を狙う凶悪な強盗事件が相次ぎました。

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