「DeepSeekは"始まり"か」世界で起きる"大変化" 「ブラックスワン」になる?北京大学MBA生の考察
東洋経済オンライン / 2025年1月29日 13時0分
中国製LLMである「DeepSeek」の登場が、NVIDIAを含むアメリカのテックの株式市場に衝撃を与えた。DeepSeekのOpenAIよりはるかに少ない設備資源で、OpenAIなどの先行するLLMと同等以上のパフォーマンスを発揮すると言われている。
LLMに巨額投資をしていたアメリカのテック企業への投資の妥当性が疑われ、そもそもNVIDIAが提供するGPUにも疑いがかけられたことで、これらの会社の株価は大きく値下がりした。
この状況をどのように考察するべきか。昨年の8月に「『中国AI』はChatGPTを超えるか?驚く実態(前編)」の記事も寄稿していた北京在住で北京大学MBAに通う岡俊輔氏に解説してもらう。
唯一、アメリカと差があるのが「半導体」だったが…
昨年8月に書いた記事(「中国AI」はChatGPTを超えるか?驚く実態(後編))では、
【画像で見る】「中国生成AI」と「ChatGPT」、実際に比べて見た結果は?
(中国政府の)3カ年計画の中で中国がアメリカを超え、他の国々も大きく引き離すほどに飛躍的なAI大国に成長していく未来も否定しきれないのではないでしょうか。
と3年以内で中国AIがアメリカを超える可能性を示唆したものの、このスピード感で世界のLLMにキャッチアップしてくるとまでは正直予想できませんでした。
その理由も記事内で、下記のように書いていました。
AIサービスの良し悪しは、
①データ量 ②技術力 ③半導体
この3つのクオリティで決まります。
実のところ、すでに中国は「①データ量」「②技術力」ともに、アメリカに追いつきつつあるといえます。
データ量において、14億人の国民が存在する中国は、インターネットユーザー数が世界一のデータ大国です。技術力においても、優秀なエンジニアを数多く抱え、世界トップレベルのAI技術力を誇っています。
唯一、アメリカと差があるのが「③半導体」です。
この半導体の差を埋めるには、半導体を購入するための購買力が上がるか、自国産の半導体のクオリティが高まるのを待つしかないと私は思っていました。
ですので、今回のDeepSeekが「技術力」によって、半導体の差異を埋めるという解決方法は自分にとっても驚きでしたし、それが株式マーケットへも大きな動揺を与えたのだと思います。
金融業界において、レバノン出身の学者・哲学者・投資家であるナシム・ニコラス・タレブ氏が著書『ブラック・スワン』の中で提唱した概念で、通常予測が非常に困難で、発生した場合に極めて重大な影響を及ぼす事象をブラックスワン(Black Swan)理論と呼びます。
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