｢子どもへの魔法の言葉｣は扱い方に注意が必要 ｢ありがとう｣｢大好き｣｢信じているよ｣も逆効果に

笑顔で愛情を込めて「よく頑張ったね」と言われた場合、その言葉は子どもの心に深く響き、安心感や達成感をもたらします（写真：kapinon／PIXTA）

【相談】

子どもへの言葉がけについて、どうすればもっと効果的になるか悩んでいます。私は子どもが頑張ったときには「よく頑張ったね」と声をかけるようにしていますが、時々その言葉が子どもにちゃんと響いていないように感じることがあります。また、注意や叱るときも、つい感情的になってしまい、あとで後悔することが多いです。同じ言葉でも、言い方や伝え方を工夫するだけで子どもの受け止め方が変わると聞きましたが、具体的にどのようなことを意識すればよいでしょうか？　どんな場面でどのように言葉を選ぶべきか、アドバイスをいただけるとうれしいです。

（仮名：山本さん）

私たちが普段何気なく使っている言葉。その1つひとつには、実は想像以上の力が秘められています。特に、家族や子どもたちとのコミュニケーションにおいては、「何を言うか」という内容そのもの以上に、「どのように言うか」が極めて重要なのです。同じ言葉であっても、その言い方や伝え方によって、相手が受け取る印象や影響は驚くほど変わるものです。

プラスの言葉や魔法のような優しい言葉と言われるものでも、伝え方次第ではその効果を最大限に発揮することもあれば、逆にその言葉が癒しや安心を与えるどころか、心を傷つけてしまうこともあります。言葉の力は、その「届け方」に大きく左右されるのです。

プラスの言葉の本当の力

たとえば、子どもに「よく頑張ったね」と声をかける場面をイメージしてみてください。この言葉は、どんな状況でも基本的にはポジティブで、子どもを励ます良い言葉です。しかし、同じ「よく頑張ったね」という言葉でも、親が笑顔で優しく、温かいトーンで伝えた場合と、冷たい表情でぶっきらぼうに言った場合では、子どもが受け取る印象はまったく異なります。

笑顔で愛情を込めて「よく頑張ったね」と言われた場合、その言葉は子どもの心に深く響き、安心感や達成感をもたらします。「親がちゃんと見てくれていた」「自分の努力を認めてもらえた」という気持ちは、子どもの自己肯定感を育む重要な土台になります。

一方で、無表情でただ義務的に「よく頑張ったね」と言われた場合、その言葉は本来の力を失ってしまい、時には「本当にそう思っているのかな？」という疑念や不安を抱かせてしまうこともあります。

このように、プラスの言葉そのものは素晴らしいものですが、それだけでは不十分なのです。その背景にある「愛情」や「思いやり」、そしてそれを「どのように届けるか」が何よりも重要なのです。

魔法の言葉とその扱い方