厳しいヤマトが昨年末に繰り出した「攻めの一手」 宅急便だけでは成長に限界、3PL有力会社を買収
東洋経済オンライン / 2025年1月30日 7時55分
業績の赤字転落や、日本郵便との業務委託に伴うトラブルなど、厳しい話題が目立つ宅配便大手のヤマト運輸。しかし2024年12月、ヤマトが大胆な攻めの手を打っていたことはあまり知られていない。
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3PL(物流の一括受託)を展開するナカノ商会の買収だ。同社の2023年9月期の売上高は867億円。ヤマトのロジスティクス事業は前期売上高が1151億円で、合わせれば3PL業界では中堅クラスの規模になる。
ヤマトは現在、センターの統廃合や作業の改善、長距離輸送の集約など、多方面で構造改革を進めている。また、今期は業界の荷物量が少なく、受注合戦も起きている。厳しい局面でなぜ買収に打って出たのか。
同棲からようやく結婚?
「今までは同棲していたが、正式に婚姻届を出した感じ。買収は法人を軸とした3PL事業に乗り込むという、ヤマトの意思表示だ」――。ロジスティクス事業を担当するヤマトの鹿妻明弘・専務執行役員は、ナカノ商会との関係性についてそう説明する。
ヤマトはナカノ商会とどんなサービスを展開していくのか。1つは、ヤマトの集荷と配達の能力を生かしたものだ。
全国規模で個人から集荷し、配達できる会社は少ない。例えばメーカーと契約し、コーヒーメーカーやパソコンなど自主回収の製品を回収して、修理した後に配達する、といった一連の流れを完遂できる。
ヤマトは農家などの一次産品事業者との関係も深い。これまでは主に個人向け配送を担ってきたが、卸向けの仕事も開拓余地がある。これは既存顧客の深掘りにつながりそうだ。そのほか、小売業のECや在庫型センター、通過型センターなどの業務をまとめて開拓していくことも視野に入れる。
すでに営業人員はナカノ商会と一緒に動き出している。鹿妻氏は「これからは積極的に入札に出ていく」と宣言しており、さまざまな顧客に強気のアプローチをかける構えだ。
ヤマトとナカノ商会との関係は深く、以前からEC荷物の仕分けや、店舗への配送などを委託していた。買収に至った背景には、宅急便で運べない荷物をどう獲得するかという課題があった。
ヤマトの営業は、「この時間までに作業してもらえば宅急便に乗せられます」というスタンスだ。それが現場の腕の見せどころで、正しい手法と考えられてきた。しかし、それでは獲得できない仕事もある。
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