尹大統領逮捕に涙する20、30代韓国人男性の本音 再びジェンダーの争いになってきた韓国の政治
東洋経済オンライン / 2025年1月30日 7時40分
「弾劾無効」。地を這うような声が響き渡る。韓国の尹錫悦大統領が初めて憲法裁判所(憲裁)の弁論に出席した1月21日。憲裁の近くで開かれた保守派のデモには太極旗や星条旗を手にする高齢の人々に混じって20〜30代と思しき男性の姿が見られた。
「戒厳令を出した理由を理解する必要がある」
デモの後列に滑り込んだ男性は28歳。資格をとろうと大学を休学中だが、いてもたってもいられずやって来たという。
「韓国の男性には兵役の義務があります。軍では反共について教えられる。兵役に行って帰ってくると自然と保守になるんです。大統領も考えがあって非常戒厳をした」
その考えについて聞くと、「いろいろですよ」。そう短く言って参加者の高齢者から手渡された「弾劾無効」と書かれたプラカードを「大事にします」と抱えて一礼してからデモの中に入っていった。
手に星条旗を携えながらも、デモのかたまりから少し離れたところにいた青年は19歳の浪人生。祖父母から貧しかった韓国が発展したのは朴正熙元大統領のおかげだと聞かされて育ち、保守派になったという。
「123戒厳(昨年12月3日の非常戒厳令宣布)の時はすごく驚いて、なんていうことをしてくれたんだ、韓国から保守層がいなくなってしまうと思ってショックを受けましたが、しばらく情報を集めてみると、大統領は理由もなく戒厳令を宣布したのではないと思うようになりました。
野党が弾劾を乱発したせいで大統領は何もできなかったし、選挙の不正もそうです。大統領も考えがあって、戒厳令を出した。その意図を理解するだろうと私たちのような支持者を信じたのだと思っています」
情報はもっぱらYouTubeから集めるそうだ。彼と同じように、遠巻きにデモを見ている若い男性が何人かいた。
その中の1人は31歳の就職準備生は、「野党の暴走」に懸念を強めているという。
「(尹大統領が)戒厳令をなぜ出したのかをずっと考えてきました。これはいずれ明らかになるでしょうけど、野党が出した『カトク戒厳』から自由について深刻に考えるようになりました。
大統領への公捜庁(高位公職者捜査庁)の捜査も拘束も逮捕も法に則ったものではなかった。野党が暴走しています。このまま、野党に政権を渡したら自由が脅かされるという思いで今日は来ました」
「カトク厳戒」とは、最大野党「共に民主党」が韓国の国民的メッセージングアプリ「カカオトーク」でも内乱を煽動するような内容を書いた者は一般人でも告発するとしたもの。フェイクニュースが乱舞しているとして、今月初め、同党のホームページにフェイクニュースを申告する窓口を設置しており、これに「表現の自由を奪うのか」とZ世代や保守派から猛反発を受けている。
与党の支持率が上がっている背景に20、30代男性
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