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尹大統領逮捕に涙する20、30代韓国人男性の本音 再びジェンダーの争いになってきた韓国の政治

東洋経済オンライン / 2025年1月30日 7時40分

与党にとっては8年前の朴槿恵元大統領に次いで2回目の弾劾という難局だが、朴元大統領の時と大きく異なるのは与党の支持率が上がっていることだ。この背景にはこうした20〜30代男性の支持がある。同世代の与党への支持率は弾劾訴追の局面から10ポイント以上、上昇している(世論調査会社韓国ギャラップ)。

保守派のデモといえば、朴元大統領の弾劾時に登場した親米・反共を掲げる「太極旗部隊」が象徴的で、そのほとんどが高齢者だった。大統領が拘束される前も大統領公邸近くで連日、保守派のデモが繰り広げられ、参加者の中には20〜30代の男性の姿も見られたが、「(若い男性の)アルバイトを雇ったのではないか」という声も囁かれるなどフォーカスされることはなかった。

ところが、尹大統領へ逮捕状が発付された1月19日、発付は違法だとして尹大統領の支持者の一部がソウル西部地方裁判所へ乱入した事件から認識が大きく変わった。地裁の壁を損壊するなどして韓国社会に衝撃を与えたが、現行犯逮捕された90人のうちの半分(46人)が 20〜30代の男性だったことが明らかになり「驚き」が広がった。

20〜30代の男性が極右化していると指摘するメディアもあったが、そもそも尹錫悦大統領はこの世代の男性から熱烈な支持をとりこんで誕生した。背景には、兵役が課されている立場から常に不公平感が燻っていることがある。

軍服務により与えられていた恩恵はなくなったが、一方、女性の環境だけが改善されているように見え、特に文在寅前政権下では、女性に配慮する傾向があったとしてジェンダーでの葛藤が広がった。そうした不満をすくい上げて大統領に当選したのが尹大統領だった。

しかし、尹大統領は就任後、20〜30代男性票を取り込むために公約にしていた女性家族省の廃止もスーパー野党に阻まれて実現できておらず、また、与党「国民の力」代表だった30代のイ・ジュンソク元代表を脱党に追い込むなど、20〜30代の男性支持者からは失望感が広がり、支持が離れたと言われていた。

尹大統領弾劾訴追デモで目立ったのは女性たち

ついひと月ほど前には、弾劾訴追を追求するデモにK-POPの推しのペンライト持って参加した20〜30代の女性たちが話題になったばかりだ。保守派のデモに今度は20〜30代の男性が登場した背景について、成均舘大学社会学科のチュ・ジョンウ教授はバックラッシュ(揺り戻し)が起きているというジェンダーの観点からこう分析した。

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