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MLB移籍する佐々木朗希が抱える根源的なリスク 日米で急増するトミー・ジョン手術の件数

東洋経済オンライン / 2025年1月30日 13時0分

大谷翔平は2018年と2023年に2度の手術(2回目はインターナルブレース=人工の靭帯補強材=を移植する手術も併用)を行い、合わせて2シーズン投げることができなかった。

佐々木の場合、以後、右ひじに異常は出なかったが、肩回りのコンディション不良などもあった。

2021年からNPBの一軍で登板し、2022年には史上最年少で完全試合を達成するなど、圧倒的なパフォーマンスを発揮し始めた佐々木だが、彼の脳裏には「たったの1球で覆される(投げられなくなる)、そういう可能性があるんだ」との思いがあったという。

佐々木が一番恐れたのは、NPBで投げているうちに、靭帯を損傷してトミー・ジョン手術となることだっただろう。手術後順調に復活できればいいが、リハビリがうまくいかなかったり、復活してもパフォーマンスが低下して、MLBに挑戦できなければ、彼の「夢」は水泡に帰してしまう。そうならないうちに、一刻も早くMLBに移籍したい、そのためならマイナー契約もいとわない、という気持ちかもしれない。

ただ、そうであるならば、チーム、とりわけ彼の成長をずっと見守ってきた吉井理人監督(佐々木入団時は投手コーチ)と、そうした彼の事情、彼の気持ちについてしっかり話をしていたのか、という疑問は残る。吉井監督は、佐々木朗希の移籍騒動に際しては、否定的なコメントもしていたのだ。

結局、球団もポスティングシステムでの移籍を認め、入札の結果、ドジャースへの移籍が決まった。

球速アップと手術数の関係

ただし、そこまでの思いで移籍したにしても、佐々木朗希は、MLBに移籍して、靭帯再建手術を受けるような故障をする可能性もある。

MLBでは近年、投手が肘の靭帯を損傷してトミー・ジョン手術などの靭帯再建手術を受ける事例が急増。2023年はマイナーリーガーも含め263件の手術が行われた。これは2011年の2倍以上の数字だ(週刊ベースボールONLINE「肘のケガでエース級が相次ぐ離脱 要因についてMLB機構と選手会が対立」)。

MLBでは投手の球数は厳格に制限されている。それでも手術が急増しているのは「投球強度=球速」が上がっているからだという。

投手がボールをより速く投げようとすればするほど、より多く肩肘にストレスがかかり、靭帯を損傷するリスクが高まるわけだ。

佐々木朗希の速球は165km/hを記録する。これはMLBでもトップクラスの球速だ。だからこそ佐々木と多くの球団が契約しようとするのだが、投球強度が上がれば上がるほど、肘を損傷する可能性は高くなる。

日本でも増えるトミー・ジョン手術

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