子どもたちの「知識」を「体験」につなげる "やってみる"ことで見えてくる新しい視点
東洋経済オンライン / 2025年1月31日 8時15分
2024年11月、文部科学省から「裸眼の視力が1.0に満たない小中学生の割合が、過去最高だった前年から横ばいで推移している」と発表があった。ここ数十年、子どもの視力の低下傾向は止まらない。視力が悪くなってもメガネをかければよいと思われがちだが、近視は将来的に失明のリスクが高くなるため、危険な疾患だ。
眼科医としてこの問題に向き合っているのが、窪田良氏。科学的にも証明されている「1日2時間の屋外活動で子どもの近視は抑制できる」ことを知ってほしい、と発信を続けている。
今回は、『近視は病気です』著者の窪田氏と、『東大宇宙博士が教える やわらか宇宙講座』(東洋経済新報社)の著者である井筒智彦氏が、「子どもの外遊び」や「宇宙と目の関係」などをテーマに全4回で対談をする。第2回では、五感を使った体験の重要性について話し合う。
「限界集落から宇宙へ」で町おこし
窪田:井筒さんは東京大学大学院で宇宙について学ばれたそうですが、そもそもなぜ宇宙に興味を持たれたのですか?
井筒:高校2年生のときにテレビの特番でオーロラが紹介されてるのを見て、なんて美しい現象なんだろうと。しかも、それが謎に満ちていると知り、ますます惹かれました。宇宙の謎に迫りながら生活できる研究者って、すごくいいなと思ったのがきっかけです。
窪田:宇宙飛行士になりたいというよりは、サイエンスのほうに興味を持ったのですね。ご出身は東京で、今は広島県の中山間地域にお住まいですよね。地方に移住されたのはなぜですか?
井筒:過疎化の問題に関心を持ったのがきっかけです。それに、宇宙についての博士号を取ってから田舎に移住するというのも、なかなか例がないことだと思ったので、やってみようと。実際に移住してみたら、自分の強みである宇宙をテーマに、町おこしができるかもしれないと思うようになりました。
窪田:キャッチコピーの「限界集落から宇宙へ」がとても印象的です。今はどんな活動を?
井筒:宇宙博士という肩書で、広島でラジオやテレビに出演したり、本を出版したり、宇宙町おこしのプロデューサーとして星空観察会などのイベントを企画したりしています。たくさんの人に宇宙の面白さを知ってもらいたいというのが、私の活動の原点にあります。
窪田:ご著書の『東大宇宙博士が教える やわらか宇宙講座』は、子どもから大人まで読みやすく、宇宙の不思議にワクワクするような内容でした。
井筒:私自身、「これはすごい! この驚きを分かち合いたい!」と思うことを詰め込んだので、そう言ってもらえるとうれしいです。この本を読んで、宇宙に興味を持ってくれる人が、1人でも増えてくれたらいいなと思っています。
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