1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

地方の鉄道会社が執念で成功「誠実ビジホ」の実態 ものづくりの境地?静鉄ホテルプレジオの凄み

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 8時40分

2008年にスタートと後発組ながらも、着実にファンを増やしている静鉄ホテルプレジオ。鉄道会社が運営するからこその、堅実な経営が背景にあった。写真は「静鉄ホテルプレジオ大阪心斎橋」のロビー(写真提供:静岡鉄道)

各ビジネスホテルの代名詞的なサービス・設備を紹介し、その奥にある、経営哲学や歴史、ホスピタリティまでを紐解いていく連載「ビジネスホテル、言われてみればよく知らない話」。

第17回は、静岡を中心に全国に8ホテルを持つ人気チェーン 静鉄ホテルプレジオの理念や経営姿勢を前後編で分析する(前編はこちら)。

「誠実」なオーダーメイド

静鉄ホテルプレジオは2008年、静岡鉄道が、「新たな柱を育てよう」とスタートした事業だ。

【画像】もはや「ものづくり」の境地! 後発ながら支持を集める静鉄ホテルプレジオ、その完成度の高い部屋

同鉄道会社は1919年の創業から100年以上にわたり、地域の足となる実直な経営を行っている。

開発に当たっては、6年かけて100軒以上のホテルを泊まり歩き、家具やレイアウト、備品、ベッドや机の高さまで研究し、「アッパーミドルクラスのビジネスホテル」と位置づけた。

【画像】もはや「ものづくり」の境地! 後発ながら支持を集める静鉄ホテルプレジオ、その完成度の高い部屋

ベンチマークとしたのは、ダイワロイネットホテルや三井ガーデンホテルだ。「狭くて泊まるだけのホテル」ではなく「快適空間をしっかりと確保した、ワンランク上のホテル」を目指したという。

ものづくりと言えば製造業が思い浮かぶが、本連載をしているとビジネスホテル運営会社にも、筆者は同じことを感じる。ただ、その中でも静鉄ホテルプレジオの担当者たちには“執念”のようなものを感じた。もちろん、褒め言葉として、である。

加えて建設の際に軸となったのは、経営理念の1つ「安全、安心」だ。安全、安心は目に見えにくいが、想定される南海トラフなどの地震が起きたときに内部を守れる免震構造を、8ホテル中5施設で採用。防災備蓄もしっかり備えた。

大量生産ではない、柔軟かつ丁寧なホテル設計

さらに客室設計においては、静岡鉄道の社是「誠実」と、これも経営理念にある「快適のあくなき追求」を重要視。一軒一軒、立地やゲスト層に合わせ、「この地域はインバウンドが多いからベッドを大きくしよう」など、オーダーメイドで設計・デザインを変えて8軒を造った。

実はこの姿勢は、静岡鉄道の車両にも通じている。現在のモデルであるA3000形の車両は、ゲストが快適に乗車できるデザイン性と環境を考慮して、2016~2024年の間に12パターンもの車両構成が導入されているのだ。

「グループ全事業でお客様や従業員に誠実に向き合っています」という山本さんの言葉に、「誠実」という社是がくっきりと浮かび上がる。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください