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「TBS辞めた男」ABEMAで"危険な番組"作る事情 なぜ"命懸けで国境を越える人々"を撮り続けるのか

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 9時0分

「僕は大阪出身で東野幸治さんが好きだったんです。それで『東野さんはどうですか?』と、構成に入っていただいたアリエさんに言うと、『東野さんほど映像を見ている人はいないし、相性がいいと思うよ』ということで東野さん一択でキャスティングさせていただきました。東野さんほど仕事でもプライベートでも映像を見ている人はいないんじゃないでしょうか」

実は東野さんは『不夜城はなぜ回る』だけでなく、『国境デスロード』でもMCを務めている。いわば大前作品には欠かせない恩人なのだが、「映像をよく見ている」ということが、番組にどう生かされるのだろうか。

「その映像における根幹を瞬時に読み取るんです。取材してきた僕ですら気づいてないことや見落としていることも、東野さんは気づいている。

たとえば、『不夜城はなぜ回る』で寒天を作るおじいちゃんたちのVTRを作ったことがありました。出稼ぎ労働で県外から3カ月だけ住み込みで働いていらっしゃった方々なんですけど、昼飯休憩のときにお互い照れくさいのか距離感が絶妙で、ちょっとだけ座り位置が”ハ”の字になってたんです。

すると東野さんがVTRを見て、『おじさん2人が飯を食うとやっぱり”ハ”の字になるんやな』とボソッと言っていて。確かにそうだなと気づかされました。

東野さんは取材相手にリスペクトを置いたうえで絶妙にいじるのが本当にうまい。映像からいろいろと汲み取って、ディレクターがほしいなと思うリアクションをしてくださるので、いつも助けられています」

大前さんにとって代表作ともいえる『不夜城はなぜ回る』。その中で彼にとって忘れられない思い出のエピソードがある。

「毎日深夜に、名古屋駅前でドラムを叩き続けているおじさんがいるんです。その前には遺影みたいなものが置いてあって。ドラムで奏でるものが怒りなのか、追悼なのかはわかりません。

そのうち夜が更けてくると、未成年と思われる子たちも集まってくるんです。おじさんはドラムを叩きながら、『ここに来るんじゃねえ! 家に帰れ!』『お前らドラッグとかやって俺の演奏を聞いてるんじゃねぇよ!』と怒りながら叫んでいて。

でも子どもたちは、『信じられる大人はこの人しかいない』とおじさんといるときはドラッグをすることもなく、ドラムを聴いていました。家出少女たちの居場所のような存在なんですよね。朝日が出ると、おじさんは子どもたちと一緒にゴミ拾いをして帰るんです」

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