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「TBS辞めた男」ABEMAで"危険な番組"作る事情 なぜ"命懸けで国境を越える人々"を撮り続けるのか

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 9時0分

堀川さんがABEMAでの番組制作に大前さんを誘ったのには理由があった。

「ABEMAでやる番組は企画の段階から視聴者ファーストで、視聴者が見たいものを作る、が大原則。でも、個人的にやりたいことでも熱量がある企画を形にして見せることは、結果的には多くの人が見たいものなんじゃないかと考えたんです。こういう番組がABEMAで配信されたら、もっと魅力的なプラットフォームになると思いましたし、高橋さんならわかってくれるのではと思いました」(堀川さん)

僕は「ジャーナリスト」ではない

『国境デスロード』でゼネラルプロデューサーを務める高橋さんは、ABEMAで映像制作を手掛ける一方で、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの経済動画メディア『ReHacQ(リハック)』を運営する、ネット配信における時代の寵児である。

大前さんは実際に、高橋さんと一緒に仕事をすることでその凄さを痛感している。

「高橋さんは、ロケ素材の肝となる部分や人間の本質を読み取る能力が極めて高い人です。人の細かい表情の変化や食べているもの、手に持っているものなどから、『これは寄ったほうがいいよ』『これがキーワードになるよ』と瞬時にポイントをつかむんです。

何回も編集しているはずの僕はそこに気づいていなくて、高橋さんから『もっと画面の隅々まで見ろよ、命懸けで撮ってきたんだろ』とめちゃくちゃ怒られましたね」

映像ディレクターとして、その学びはとてつもなく大きいという。

「僕は自分や取材相手がどう思ったのかということをつねに意識して制作してきたのですが、高橋さんからは主語を“視聴者”に置き換えるように言われました。僕の主語が自分になっていること、視聴者のことを考えて制作する意識が足りないことを見抜かれていました。仕事のときだけでなく、日常生活からも人間の心理や行動を読み取れるようにしておくということを教えられたと解釈しています」

『国境デスロード』は人の感情の機微を大切にして制作した、極めてドキュメンタリーに近い番組だが、大前さんはその過程で心がけてきたことがある。

「『バラエティー番組であることを忘れない』ということです。僕たちはジャーナリストではなく、バラエティー番組のディレクターなので、そこは意識して作っています。あと、MCの東野さんや視聴者がVTRを見たときに、『この人たち大変やな』という感想が出てくる映像は絶対に作りたくない。

貧しい地域や生命の危機を感じるような場所に生きる人たちであっても、『大変そうだね』と距離がある感想を持たせたくないんです。『国境デスロード』に登場する皆さんは、日本で暮らす僕らとは境遇こそ違うけれど、同じ人間だということを自分事のように感じられるような番組にしたいですね」

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