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「TBS辞めた男」ABEMAで"危険な番組"作る事情 なぜ"命懸けで国境を越える人々"を撮り続けるのか

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 9時0分

この不思議な関係性を非難する“大人たち”もいた。

「クタクタのスーツを着た会社員風の男性から『ドラッグやってるガキが街を荒らしやがって!』と言葉を投げつけられることもありました。子どもたちはそれを見て『あんな大人になりたくない』と言っていた。

僕が『どう思う?』とドラムのおじさんに聞くと、『俺は別に何にも思わん。子どもたちのほうがまだ人間らしい。大人たちは下を向いて悪口を言うばかりだけど、子どもたちは憂いてはいても、まだ上を向いて世の中を変えたいと思っている』って。そう言ってドラムを叩いている姿にグッとくるものがありました」

残念ながら、この回が放送されることはなかった。理由はコンプライアンスに引っかかってしまったからだというが、もしオンエアされていたら“神回”になったかもしれない。

趣味で撮ろうとしていた企画が採用

2024年1月にTBSを退職した大前さんが手掛ける新作が、『国境デスロード』(ABEMA)だ。世界各国にある国境を命がけで越える人々の生活に密着するドキュメントバラエティー番組で、大前さんは企画・総合演出で参画し、『不夜城はなぜ回る』と同様に自ら取材現場に立ち、リポートを行っている。

その内容は壮絶だ。

例えば、ベネズエラからコロンビアへと国境を越える移民に取材した第2回。経済状況の悪化から、コロンビア経由でチリへ向かうという若者は、大きな生ゴミのコンテナの中で食べものを漁る。5日ぶりの食事になるという。

ハエが飛び回るコンテナの中で、「食べてみなよ」と差し出されたネギに大前さんは食らいついた。その姿を見て、若者は「僕と同じ行動をとってくれて嬉しい」と微笑んだ。

大前さんの持ち込み企画だというが、なぜABEMAだったのか。番組実現の背景には、入社局は違うがテレビマンとして同期の堀川恭平さん(前出)の存在が大きかった。

「テレビ関係の就活生同士の飲み会に1回だけ参加したことがあったのですが、そこで堀川くんと出会って仲良くなりました。

TBSを辞めてから、久しぶりに居酒屋で再会したんですが、そのときに『国境デスロード』の原型となる企画の話をしたら、『ABEMAで出してみなよ』と言ってくれたんです。趣味で撮ろうかなと思っていたので、驚きました。

堀川くんが高橋弘樹さん(ABEMAゼネラルプロデューサー)に繋いでくれて、パイロット版みたいなものを見せたところ、正式に採用していただきました」

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