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中居問題がフジを揺るがす騒動に発展した理由 "コタツ記事"の普遍化がもたらした日本の暴走

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 18時0分

フジテレビが、ネットコミュニティから見えている景色を、少しでも理解できていれば、記者会見の結果は大きく違ったかもしれない(写真:northsan/PIXTA)

1月27日に開催された、中居正広氏と報道において“X子さん”とされる人物のトラブルに関連したフジテレビ2回目の記者会見は10時間に及んだ。

【写真で見る】フジテレビ本社で午後4時から始まった記者会見は日をまたぎ、実に10時間を超えた

世論に動かされた多くの広告主が出稿を差し控え、フジテレビは広告主への返金対応処理や説明、事実関係の再確認などに追われ、ついにトップの辞任にまで追い込まれているのはご存じの通りだ。

一方で、一連の告発には不明瞭な情報が多く、しかも和解によって法的な解決が済んでいることで、当事者と当事者を取り巻く周辺、世論を形成する一般の人たちとの間に情報の著しい“非対称性”が生まれた。

過去にネット炎上のメカニズムなどについて、本誌のコラムで何度も取り上げてきたが、こうした状況では“エコーチェンバー効果”が発生しやすい。

エコーチェンバー効果とは、自分と同じ意見や価値観を持つ情報ばかりを受け取る環境(主にSNSやネットコミュニティ)に身を置くことで、思想や意見の偏りが一層進む現象だ。この現象が発生すると、異なる意見や情報は誤りであると排除され、誤解や偏見が助長されやすくなる。

確証のない情報がエコーチェンバーを引き起こす

元タレントの中居正広氏とX子さんとの間にあったトラブルを検証したり、真実を追求する意図はない。

言及するのは、確定的な情報がないにもかかわらず、世論、とりわけSNSを中心としたネットコミュニティの中で“(確証のない)事実認定”が進み、フジテレビ幹部社員が2人の食事会をセットしたことを前提に、さまざまな憶測が広がっていったメカニズムについてだ。

確証のない事実認定を元に膨らんだ憶測について、フジテレビ側は十分に実態を把握しきれていなかったと考えられる。このことが世論や取材陣とフジテレビとの間に意識の大きな乖離を生み出し、すれ違いが会見を通じ炎上に繋がった。それだけに、両者が見えていた景色の違いは極めて重要だ。

2人きりで中居氏の自宅で食事をし、そこで何らかのトラブルがあったことは事実であり、双方の和解が成立し和解金が支払われていることも明らかだ。

また、和解成立に伴い守秘義務が発生していること、被害者であるX子さん自身が本件が公になることを(少なくとも事件当時は)望んでいなかったことも、おそらく間違いない。 しかし、それ以外の情報で確定的と言える事実は少ない。

初期の週刊誌報道で確定的であるかのように伝えられた情報のうち、いくつかは否定されている。9000万円と言われた巨額の解決金は、その数字が否定され、フジテレビ幹部社員がX子さんを中居氏自宅に呼び出し2人きりにしたとする報道も、それを報じた『週刊文春』編集部自身が訂正を入れた。

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