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蒲田から蒲田へ「たった800m」の新線に集まる期待 渋谷~羽田空港「新空港線」メリットと実現への課題

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 19時30分

ただ、「新空港線」建設までに、さまざまな課題が立ちはだかっている。

まず、羽田空港との直通でネックとなるのが「線路幅」だ。今回の開業区間に次ぐ第二期区間と位置付けられている「京急蒲田駅~羽田空港間の直通」(大鳥居駅の近辺で京急空港線に接続)を行おうにも、東急多摩川線が1067mm、京急が1435mmと幅が違うため、直通運転はまったく不可能だ。

現状では複数案が検討されているものの、車輪の位置を動かせる「フリーゲージトレイン」案は車両製造のコストや技術的問題で国内の実用化ができておらず、線路を3本敷いて幅の違う鉄道を直通させる「三線軌条」案でも、乗り入れ区間の工事による京急空港線の長期運休は避けられない。

妥協案として挙がっているのが、京急蒲田駅~大鳥居駅間にも新線を敷設し「大鳥居駅での乗り換え」とする案だ。

しかし、京急が大鳥居駅~羽田空港間での極度の混雑に悩まされる上に、何より東急が求める「渋谷~羽田空港ルート」のメリットが薄れてしまう。そもそも京急蒲田駅~大鳥居駅間の新線は京急空港線とほぼ並行するため、「京急側が協力するメリットがない」ことが最大の問題だ。

直近の大田区議会では「京急空港線との効果的な接続方法を検討するため、専門業者による検討を実施」(2024年9月・決算特別委員会)との回答にとどまっており、京急との今後の協議が注目される。

また渋谷からの直通運転に関して、「東急多摩川線の改良」が必要とされるかもしれない。

現状の東急多摩川線は、多摩川駅~蒲田駅間5.6kmの全線が地上を走り、約20カ所の踏切が存在する。18m車両・3両編成の電車がコトコトと駆け抜ける「住宅街のローカル線」だ。

しかし東横線から乗り入れる車両は「20m車両・8両~10両編成」であり、3両編成対応の各駅を全面改良しない限り、停車できない。沿線の住民は「渋谷行きの電車があっても停まる訳でもない」「大編成の列車のせいで、踏切の待ち時間だけが長くなった」「地下に移転した蒲田駅から地上に出るのが面倒」といった印象を抱くだろう。

特に下丸子駅周辺の踏切は、安全対策の必要を国交省に指摘されており、大田区は直近でも高架化への調査に620万円を投じている。ここは「連続立体交差事業」などで国交省に補助を要請してでも、「新空港線」と同時に東急多摩川線の高架化、もしくは地下化の必要があるのではないか。

再開発で「失ってほしくないもの」

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