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フランス映画の巨匠が撮る「映画への深い愛」 デプレシャン監督に取材、仕事観などを聞いた

東洋経済オンライン / 2025年2月1日 15時0分

私はフランスのそれほど豊かでない田舎の出身なんですけど、少年時代は非常にメランコリック(物憂げな)な少年でした。映画監督になるなんてことが実現できるわけがない、自分には到底起こりえないことだとずっと思っていたんです。

私は特別何かすごく質の高い教育を受けたわけでもない。ただ人生の教科書として、愛なども含めてすべてを映画から学びました。だから今、私は映画監督という仕事を天職だと感じています。

――映画監督になる近道は批評家になることだとおっしゃっていましたが、デプレシャン監督自身は自分のキャリアを振り返り、まわり道だと感じることはなかったでしょうか?

確かにまわり道をしたな、という感覚はあります。映画学校を卒業した後も、実際に映画の職に就くまでには非常に時間がかかりましたからね。その期間は友人の映画の撮影の手伝いや、助手などをしていました。

その一方で、私は数多くの映画を見てきたのですが、ある日突然、これで映画を撮る準備ができたと思ったんです。そして最初の映画となる『二十歳の死』を監督することになりました。

――傍から見るとデプレシャン監督はデビュー作から映画賞などで注目され、順調なキャリアを紡いできたように見えていたので、そのコメントは少し意外でした。

映画をつくるということは、大前提として決して楽な仕事ではないんです。とにかく自分のありとあらゆるものを総動員しなければ映画はつくることもできない。だからそういうタイミングだったんだと思います。

――映画の仕事を30年以上続けるということは、才能だけでなく、運や努力なども必要だと思います。デプレシャン監督がここまで仕事を続けるために必要だったことは何だったと思いますか?

私が映画監督として心がけていることは、まずは自分に忠実であること。そして私自身、人にストーリーを伝えるのがすごく好きなんです。だから今回の映画では、登場人物のメランコリックな心情やストーリーをどのように展開していくかがすごく難しくて。どういうふうに描き出すかが最大の課題でした。そこで出会ったのが若い撮影監督のノエ・バックでした。彼と出会ったことによって非常に新しいエネルギーをもらいました。

――監督にとって、勝手知ったる仲間だけでなく、新しい世代と一緒に仕事をするというのも大切だということですか?

本当に素晴らしい体験をさせてもらいました。特に今回はミロ・マシャド・グラネールという若い俳優と一緒に仕事をすることができた。彼はカンヌ映画祭の(最高賞)パルムドールを獲得した『落下の解剖学』で素晴らしい演技を見せた俳優なのですが、そういった若い人たちとの仕事はいろいろと刺激を受けますし、素晴らしい機会を得ました。

映画では多くのハリウッド映画が引用

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