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鳥インフルの拡大懸念で「卵不足」の今後の見通し 過去最悪2022ー2023年との違いを獣医師が解説

東洋経済オンライン / 2025年2月1日 7時20分

「このウイルスは、もともとは1996年に中国広東省のガチョウ農場で発生したものの“末裔”になります。それが渡り鳥を介して世界各国へ飛び火し、日本では2004年1月に初めて発生が確認されました」(迫田さん)

以後、感染が疑われるニワトリはすべて殺処分し、ウイルスを封じ込めるという徹底した衛生対策によって、日本では養鶏場での発生と農場同士のウイルス拡散を最小限に防ぎ、2017年までは数年間隔の発生に抑えてきた。

だが、2020年からは毎年発生が確認されている。野鳥の死骸を食べて感染死したキツネやカラスの大量死のほか、オジロワシ、コウノトリ、タンチョウなど希少鳥への感染も見つかった。

前述したように、野鳥はウイルスに感染してもほとんど無症状だが、そのウイルスを持つ鳥や、その鳥と接触した野生動物などが何らかの方法で養鶏場に入り込み、ウイルスがニワトリに感染すると、ニワトリは死んでしまう。感染力は非常に強く、現時点で治療法や有効なワクチンはないため、感染が確認されれば、殺処分するしかない。

今季、感染が確認された時期は、野鳥が昨年9月30日、養鶏場のニワトリが10月17日だった。1月に急増した理由については、迫田さんは「わからない」と言う。ただ、「過去最悪だった2022~2023年シーズンのようにはならないのではないか」と予想する。

それは、2022~2023年に比べて今シーズンは、11~12月に1つの養鶏場から別の養鶏場に広がる「横の感染」が低く抑えられていること、1月に入って上昇はしたものの、現在は野鳥での発生数は横ばいになっていることが理由だという。

とはいえ、流行を下火にするためには、養鶏場内の対策に加え、養鶏場同士の横の感染防止が不可欠だ。防止策としては、養鶏場に野鳥やネズミ、イタチなどの野生動物、ネコなどが侵入しないようにするための防鳥ネットや柵などの設置、養鶏場に出入りする人や車両の消毒、早期発見と家畜保健衛生所への早期通報などが求められている。

卵の価格、今後どうなる?

卵の価格についても、「2022~2023年シーズンのように、1700万羽以上のニワトリを処分することになると足りなくなるが、本州の渡り鳥がシベリアに帰り、収束に向かうまでのあと1カ月持ちこたえ、処分数を抑えられれば、卵の供給数は不足しないのではないか」と、迫田さん。

「もちろん、殺処分をしているぶん供給数が減ることは事実なので、流通業者の工夫が必要かもしれません。ですが、何よりも“消費者が買い占めや買いだめをせず、通常の消費行動を取ること”が大切。そこは消費者1人ひとりの心がけでなんとかできることです」(迫田さん)

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