鳥インフルの拡大懸念で「卵不足」の今後の見通し 過去最悪2022ー2023年との違いを獣医師が解説
東洋経済オンライン / 2025年2月1日 7時20分
いったん殺処分すると、養鶏場が再開しても卵を産むのは若いニワトリとなるため、卵は小さなSサイズとなる(Lサイズは成熟したニワトリが産む)。そういった事情も消費者は理解して、卵を購入することも必要だ。
高病原性鳥インフルエンザの発生は来シーズン以降も続くのだろうか。
「残念ながら、今のウイルスは世界中を席巻しているので、今後も渡り鳥がウイルスを持ってくる状況は続きます。ですから、生産者は脅威にさらされることになると思います」(迫田さん)
感染したニワトリに対する特効薬は現れないのか。
実は、人間がインフルエンザにかかったときに使われるタミフルやリレンザ、ゾフルーザといった治療薬は、高病原性鳥インフルエンザにかかったニワトリに効くものもあるという。
しかし、ニワトリに大量に使用すれば耐性ウイルスが生まれるリスクがあり、私たち人間に効かなくなってしまう危険性がある。そもそも高価な薬をニワトリに使えば、卵の価格が高くなってしまう。
このため、現在、ニワトリたちへの薬を開発する動きは表だってはないという。
ただ、タンチョウやコウノトリ、トキといった天然記念物などの希少鳥が高病原性鳥インフルエンザにかかった際は、しっかりした監察下のもとで抗ウイルス薬を使って治療する研究が行われているそうだ。
ワクチンについては現在、中国、東南アジアのほか、アヒル(フォアグラ)を食べる習慣のあるフランスなどで接種が行われているが、日本、韓国、台湾などの東アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカでは行われていない。
その理由について迫田さんは、「ワクチンは感染防止ではなく、発症防止、重症化防止に限られている。ワクチンを不用意に使ってしまうと、無症状のニワトリが出てきてしまう。そうなるとウイルスの場所を突き止められなくなってしまう」と説明する。
鳥からヒトへの感染はあるのか?
ヒトへの影響を気にする人もいるだろう。
高病原性鳥インフルエンザに関して、日本では鳥からヒトへのウイルス感染は確認されていないが、世界保健機関(WHO)からは、ベトナムや中国、カンボジア、オーストラリア、アメリカ、カナダなどで計939例の感染が確認され(2003~2024年11月1日)、少なくとも464例(49%)が死亡していることが報告されている。
「日本は発生があれば、即時に封じ込める蔓延防止策をとっていますから、これからも鳥からヒトへの感染への過度な心配はいりません」と迫田さんは話す。
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