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よみがえったアバクロ、「5年で利益10倍」の復活劇 「全米で最も嫌われたブランド」をどう抜け出した?

東洋経済オンライン / 2025年2月2日 7時0分

2009年、日本初上陸のアバクロ銀座店。マッチョなアピールがなされていた(撮影:梅谷秀司)

有名ブランドのブティックが立ち並ぶ東京・銀座の中央通り。セールシーズンまっただ中の1月中旬、訪日客らでごった返すユニクロとは打って変わり、6丁目交差点に面したアバクロンビー&フィッチの店内は落ち着いた雰囲気に包まれていた。

【図表】大量閉店から巻き返したアバクロの業績

縦に細長い店舗の構造は変わっていないものの、アップテンポな曲が大音量で流れ、上半身裸のマッチョなイケメンスタッフが客を迎え入れた店の面影はほとんどない。

アメリカのアパレル大手、アバクロンビー&フィッチ社が今、大復活を遂げている。

1月13日、同社は昨年末のホリデーシーズンが好調だったとして、2024年度通期の業績見通しを上方修正した。会社のガイダンスでは、通期売上高は49億ドル超、営業利益は約7.35億ドルに達する見込みだ。

コロナ前の2019年度(売上高は36.2億ドル、営業利益は0.7億ドル)からわずか5年で、売上高は3割増、営業利益は10倍に膨らむ計算だ。同社が拡大路線を進めた2000年代以降では、2012年度に記録した売上高の最高実績を塗り替えることとなる。

大量閉店からどう巻き返したのか?

復活の兆しが鮮明になったのは、ここ2~3年のことだ。2023年度以降、主力ブランドであるアバクロの既存店売上高は毎四半期、前年同期比で10~20%台の高成長を続け、若者向けブランドのホリスターも2024年度に入ってから2桁増を記録している。2023年の株価の上昇率はエヌビディアをも超えたと話題になった。

「私たちは複数年をかけて会社を再建し、非常に強力なグローバル基盤を構築した。2025年も勢いを継続していく」。上方修正発表後の1月14日、アバクロのフラン・ホロヴィッツCEOは現地メディアCNBCの番組に出演し、そう自信をのぞかせた。

2010年代半ばには大量撤退を余儀なくされ、身売り交渉まで飛び出したアバクロ。いかにして復活を遂げたのか。

アバクロの創業は1892年、当初はアウトドアや狩猟、釣り道具の販売店だった。転機は1992年に訪れる。マイク・ジェフリーズ前CEOが着任し、10~20代向けのアパレルブランドに大きく転換、全米に出店を広げた。

クラシックながら、体のラインを強調するセクシーさも取り入れたカジュアルなデザインが若者の間でヒット。強い香水が漂う薄暗い店内で、マッチョな白人男性が客を出迎えるスタイルはアバクロの代名詞にもなった。2000年代後半にはカナダやロンドン、東京など海外展開も加速した。

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