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「Suica」が今のままでは生き残れない理由 10年計画で汎用的なスマホ決済サービスを標榜

東洋経済オンライン / 2025年2月3日 8時0分

それ加えて、Suica未導入エリアや無人駅などでは、スマートフォンの画面提示だけで改札を通過できる「スマホ定期券」が始まる。GPSなど位置情報を活用し、改札機がない駅でも入出場記録を取る仕組みを検討中だ。地方や利用客数の少ない路線で磁気券やICカード機器を整備するよりも、はるかに低コストで済む。

サブスクリプション・プランも登場

2028年度には新「Suicaアプリ」でセンターサーバー管理型の鉄道チケットがスタートする。注目は月額3000円で自宅最寄駅の運賃が半額になるというサブスクリプション・プランだ。使い方や時間帯に応じて運賃を自動割引し、駅ナカの買い物やイベントとも連動した特典を提供する構想が盛り込まれている。

さらに10年以内には「ウォークスルー改札」と呼ばれる、カードやスマホをかざす必要さえない改札システムの導入を視野に入れている。「具体的な技術はまだ検討段階」としており、過去に実証実験で取り上げられたミリ波やNFCチップなどをどう組み合わせるか模索中している状態だ。

“分散型”から“クラウド型”への転換

こうした新サービスを支える要となるのが、改札システムの「センターサーバー化」(クラウド化)だ。従来、SuicaはICカードと改札機が入出場情報を書き込んで完結する“分散型”の仕組みを採用してきたが、新システムでは運賃計算や割引適用といった処理をサーバー側で一元管理する。改札機は利用者のIDを読み取るだけで済むため、新たな機能を追加しやすくなるのが利点だ。

JR東日本は「2026年度末までに約5000台の改札機を取り換え、QRリーダーを搭載した新システムを整備する」と明かしている。2024年度下期には東北エリアからQRコード乗車券が導入され、えきねっとで予約した新幹線と在来線を一つのQRコードで完結できるサービスが順次広がる見通しだ。サーバーの冗長化やバックアップ体制を整備することで、通信障害時でも最低限の改札機能を維持できる設計としている。

またJR東日本を含む8社(京成電鉄、京浜急行電鉄、新京成電鉄、西武鉄道、東京モノレール、東武鉄道、北総鉄道)は、2024年5月29日に合同で「磁気乗車券からQR乗車券への置き換え」を発表した。

2026年度末以降、順次QR乗車券を導入し、紙チケットを出改札機器へ投入する方式をQRコードをかざす非接触方式に移行するのが狙いだ。さらに、8社共用の管理サーバーでQR乗車券情報を一括して扱い、各社をまたぐ乗車券の発券を可能にするという。

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