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「Suica」が今のままでは生き残れない理由 10年計画で汎用的なスマホ決済サービスを標榜

東洋経済オンライン / 2025年2月3日 8時0分

金属を含む磁気券から環境負荷の少ない用紙へ移行する狙いや、券詰まりなどのトラブル低減を見込む点でも、「サーバー管理に集約して新システムを維持しやすくする」というシステム更新もセンターサーバー化が前提として実現できるようになったことだ。

一方、「Suica=FeliCa」という構図は今後も変わらない見通しだ。FeliCaは朝夕のラッシュ時に膨大な乗降客が改札を通る際、極めて高速に読み取りを完了する能力がある。サーバー型に移行して新サービスを追加しやすくしても、FeliCa自体の高速性を損なわず運用できるのがJR東日本の大きな強みと言える。

私鉄各社はクレカタッチとQR導入を加速

Suicaの拡大に並行して、私鉄各社や地方事業者では別のアプローチも盛んだ。特に注目されるのがクレジットカードのタッチ決済(VisaやMastercardなど国際ブランドのコンタクトレス対応)とQRコード乗車券だ。

関西圏では今年の大阪・関西万博に向けて、南海電鉄や大阪メトロ、近鉄、阪急、阪神などが相次いでクレカタッチ決済を導入している。

首都圏でも東急電鉄や京王電鉄、都営地下鉄、京急、横浜市営地下鉄などが追随し、東京メトロや西武鉄道なども準備を進めている。

福岡市交通局では1日に約1万5000人がクレカタッチを利用し、その約27.5%が海外発行カードだったというデータも出ている。

訪日外国人にとっては、交通系ICカードを新規購入する手間やチャージの煩わしさがなく、持っているクレジットカードをそのままかざすだけで乗車できるメリットは非常に大きい。インバウンドの取り込みを重視する鉄道・バス事業者にとっては、魅力的な選択肢と言えそうだ。

QRコード乗車券も本格化しつつある。関西圏では「KANSAI MaaS」や「スルッとQRtto」が複数の私鉄路線をまたいだQR乗車券を提供する予定で、事前チャージ不要の手軽さが売りだ。

地方では熊本市電が2025年度中に全国交通系ICカードを廃止し、クレカタッチとQR決済に完全移行する方針を打ち出した。ICカード機器更新には1台数百万円かかるのに対し、QRやクレカタッチなら3分の1以下の費用で済むケースもある。

このように私鉄や地方でタッチ決済が急速に広がる一方、JR東日本は「Suicaを軸にサービス拡張を図る」というスタンスを貫いている。

同社広報部は「SuicaやモバイルSuica、新幹線eチケットなどですでに一括利用の利便性を整えているため、当面はクレジットカードのタッチ決済を導入する予定はない」と明言する。

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