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障害者への向き合い方を学ぶ「検定」今注目の理由 浦和レッズスタッフも受検「必要性を感じた」

東洋経済オンライン / 2025年2月3日 16時0分

サッカーJ1リーグの浦和レッズ(浦和レッドダイヤモンズ株式会社、さいたま市) も、社内研修にユニバーサル検定を導入している。

同社のクラブ理念に掲げる「安全・快適で、熱気ある満員のスタジアム」において、誰もが楽しめるスタジアム「レッズワンダーランド」を実現するためには不可欠な知識として、雇用形態にかかわらずスタッフ全員を研修の対象としている。

きっかけは、2021年、埼玉スタジアムの試合に盲導犬を連れた人が試合観戦に訪れたことだった。

身体に障害のある人をサポートする身体障害者補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)は、法律に基づいて訓練施設で育成され訓練を受けたあと、指定された法人で認定されている。特に不特定多数が利用する施設では、ユーザーが補助犬を連れている場合、受け入れる義務がある。

しかし、運営側にとっては初めてのできごとだったこともあり、「周囲の方にも配慮して、別の席にご案内すべきではないか」「盲導犬をお預かりしたほうがいいのではないか」「犬のトイレはどうしたらいいか」など、短時間でさまざまな判断を迫られた。

試合終了後、クラブスタッフは「我々ができることは何だったんだろう」「適切な対応を学びたい」と、公益財団法人日本盲導犬協会(東京・渋谷区)によるセミナーを受講した。

同社コーポレート本部総務担当の柳紫乃課長は、「受講してわかったことは、『正しい知識を身につけていない場合、差別にもつながりかねない対応を無自覚にしてしまう可能性がある』ということでした」と振り返る。

その後、同社はマニュアルを作成した。スタジアムでも、補助犬を連れた人は購入したチケットの席に座る権利があるため、来場時は通常通りに案内する。犬は座席の下に座ってもらう。近くの座席に犬アレルギーの人がいる場合は、スタッフが仲介して、別の場所が調整できるようであれば、対応する。

さらに、そのときの対応が適切か、定期的に補助犬ユーザーを試合観戦に招待して、フィードバックをもらっている。その都度、マニュアルも更新するという。

ユニバーサルマナー検定はパートナー企業と話し合うなかで知った。

当事者意識を持つ必要性感じた

2023年12月、まず同社のスタッフ32人が3級を受講した。受講後のアンケート調査では、回答者25人のほぼ全員(96%)が障害のある人や多様な困りごとに対して、「当事者意識を持って取り組む必要性を感じた」と答えた。さらに半数(52%)は「多様な方との向き合い方に自信がついた」とも回答した。

2024年からは年1回、新規スタッフも受けられるよう、1カ月の受講期間を設定する。「社内全体的なボトムアップがないと、取り組みが進まないからです。会社として必要な経費として予算を確保しています」と、柳さんは話す。

社会の意識を変えていくとき、学校や企業で学ぶ機会を持つことはとても効果的だ。2025年、人々の心のユニバーサルデザイン化がますます進んでいくことを期待する。

福原 麻希:医療ジャーナリスト

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