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東京女子医大、"女帝"が残した「負の遺産」の実態 「女カルロス・ゴーン」が引き起こした機能不全

東洋経済オンライン / 2025年2月3日 8時0分

だが、無理なコストカットのツケが回ってくる。医師や看護師が足りず、入院患者の受け入れを制限せざるをえなくなったのだ。

2020〜2022年度はコロナ補助金によって黒字を維持していたが、実質的に赤字体質が定着。「職員の減少→病床稼働数の減少→患者の減少→収益悪化」という負のスパイラルに陥っていた。2023年度の許可病床数は1190だが、稼働病床数は752にまで落ち込んでいる。

プロポフォール事故を調査した第三者委員会は、再発防止策として小児集中治療室(PICU)の設置を提言した。ただし専門医が少ないために、PICUの実現は容易ではない。カナダの大学病院に勤務していた日本人専門医を招聘することになった。

「障壁になったのは女子医大の安い給与。岩本理事長に直談判して、一般病院並みの報酬を約束してもらった」(元女子医大関係者)

小児集中治療室の解体

カナダから帰国した医師は特任教授に就き、2021年7月、専門医6人体制でPICUがスタートした。しかし、岩本元理事長からすぐに手のひら返しを受ける。

「PICUは診療実績を積み上げると高い診療報酬が得られるが、最低でも1年間の実績は必要だと説明していた。だが経営陣は4カ月の時点で、採算が合わないと言い出した。約束された特任教授の報酬も減額されてしまった」(同)

さらに特任教授は契約を更新しない旨を通告され、6人の医師全員が退職を決めた。最終的に、わずか8カ月でPICUは解体されてしまったのである。

経営陣の場当たり的なPICUへの対応を批判した集中治療室(ICU)の医師にも、強権が発動される。ICU医師の降格や、責任者の減給など、不可解な理由で処分を連発したのだ。これに対して、ICU医師10人中9人が抗議の意を示して退職。ICUも機能不全に陥ってしまう。

女子医大は臓器移植に強い大学病院として定評がある。とくに脳死の臓器移植では、心臓、肝臓、膵臓(すいぞう)、腎臓に対応できる数少ない施設として認定されている。

「臓器移植は、手術後のICUでの管理が生着率(成功率)に大きく影響する。脳死移植の施設基準として、ICUが絶対条件になっている」(女子医大・外科医)

さらに脳外科、循環器外科、消化器外科など、高度な手術にもICUは必要不可欠だ。

重要部門のスタッフを追い出した大学経営陣に、有志の教授ら7人が連名で説明を要求した。だが経営陣は「対応に問題はない」と強弁するばかりだった。

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