スシロー「鶴瓶氏を削除」が完全に見誤ったワケ 企業は「CM取り下げ」をどこで判断すべき?
東洋経済オンライン / 2025年2月3日 17時35分
ただし、そこまでやっても、「潜在的な意見」を拾い出すことは困難で、総合的な判断を行う必要がある。
「お客様の声を聞く」、「お客様1人ひとりと向き合う」というのは重要なことなのだが、「言うは易く行うは難し」である。
多くの顧客や視聴者から理解を得るためには、「誰がどう言っているから」ということよりも、「正しい行いをしているのか?」ということのほうが重要だ。ただし、その行いの根拠をきちんと説明できることが並行して重要になる。
「少数意見」に流されるリスク
この「3つのポイント」を適切に判断し、CM継続を決めて世間から称賛を得たのが、アイリスーオーヤマだ。
昨年末に俳優の吉沢亮さんが泥酔して隣家に侵入してしまった問題。吉沢さんをイメージキャラクターに起用していたアイリスオーヤマは契約更新を発表した。吉沢さんが起こした問題がさほど深刻とは言えなかったこと、そして吉沢さんに同情的な意見が出始めていたことを判断してのことだろう。これが結果的に同社のイメージアップにもつながった。
一方、判断を見誤ったとされる例もある。
CMではないが、2015年に、東京都現代美術館に展示されていた現代美術家・会田誠さんの作品がクレームを受けて撤去された件。撤去要請のきっかけとなったクレームは1件であったことが発覚し、撤去の正当性が疑問視されることとなった。
さらにさかのぼると、2011年には、フジテレビが「韓国コンテンツ」を多く放送していることに対して、嫌韓・反韓の人たちが批判を行ったことが起点となり、フジテレビの大口スポンサーの花王に対する不買運動が起こった。
不買運動の影響力は限定的だと思うが、SNSで批判されたり、商品評価サイトに低レビューが書かれたりと、風評に対する影響は大きかったように思う。それでも花王は、スポンサーをおりなかった。
もし花王がスポンサーを打ち切ったとしたら、「差別を認めた」、「同調圧力に屈した」、「少数意見に流された」といった批判を浴び、逆効果をもたらしたはずだ。
今回のスシロー側の対応については、「少数意見に流された」と見なされても、やむをえなかったように思う。
一時的に取り下げるのであれば(筆者はそれも賛同しないが)、「実態がわからないため一旦非公開という判断を行った。実態がわかり次第、正式に対応を決定する」くらいの説明はあってもよかったように思う。
スシローが検討すべきだったこと
今回の事案に関しては、「実態がよくわからない」という状況があり、公式な情報が出てこない(出せない)状況の中で、週刊誌の記事が独り歩きしてしまっている。その中で、企業は判断を迫られているという状況だ。
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