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「JALの不祥事続発」、元社外役員が根本原因を問う 「パイロットの飲酒」など問題はなぜ繰り返される?

東洋経済オンライン / 2025年2月5日 11時30分

「再度の報酬カットには反対だ。危機感が当事者に伝わっていないことが問題で、経営サイドの取り組みに課題があったのではないか」と八田氏は述べた。最終的には自身も監査役報酬カットを提案し、報酬10%を自主返上した。

コロナ禍で航空各社が減便をしていた2020年〜2022年を除くと、2018年以降のJALは毎年のように国交省から処分を受けている。まさに異常事態だ。八田氏は「破綻前のように各部門がバラバラになっており、内部統制や管理体制に目詰まりが起きている」と指摘する。

この1月にJALが国交省に提出した報告書には、八田氏が指摘するJALの課題が多く記されている。

当事者意識を持って判断できず

昨年12月1日の774便での飲酒問題では、副機長が自身で行った自主検査でアルコールが検知されていた。そのため大量の水を飲みながら1時間以上かけて数値がゼロになるまで自主検査を行う。最終的に検査はクリアするが、飲み過ぎた水を機内で嘔吐して客室乗務員らに不安を覚えさせる。

こうした状況は、オペレーション本部の運航判断責任者に共有されていた。責任者はオペレーション本部長に運航が遅れている件を報告したが、嘔吐した事実については伝えていなかった。オペレーション本部長は便の離陸後に嘔吐した事実を把握したとしている。

そもそも出勤後にアルコールを検知したら乗務させてはならない。ところが、オペレーション本部長も運航判断責任者もアルコール検査に関する知識が不足していたため乗務可能と判断してしまった。

一方、運航本部長は、オペレーション本部長から「自主検査でアルコールを検知したパイロットがいた」と報告を受けたが、それが出勤後の検査だったことや再検査に時間がかかっていることは伝えられなかった。

運航本部長は、オペレーション本部が自主検査の結果を知っていることを不自然に感じ、パイロットを管理する乗員サポート部に連絡している。だが、「自主的な検査で数値が出たものの、再検査して合格し乗務前検査にも合格したので問題ない」と説明され、それを鵜呑みにしてしまった。

JALは報告書で次のように自省している。「関係者全員が規定や他者の情報や判断だけに頼ってしまっており、当事者意識を持って自分自身がさまざまな情報を積極的に取り、考え、判断するという行動ができていなかった」。

極めつけは安全統括管理者である赤坂氏への報告が遅れたことだ。

機長らが過度な飲酒を認めたのは12月3日の夜。翌日、運航本部長と安全推進本部長は国交省に報告すべき「義務報告」には該当しないと判断し、社長の鳥取氏に国交省への報告は不要と説明した。

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