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「人類より豚にふさわしい」と言われた嗜好品 教養として知りたい「カカオの知られざる歴史」

東洋経済オンライン / 2025年2月8日 14時0分

(写真:花咲かずなり/PIXTA)

チョコレートの原材料「カカオ」の歴史はとても古く、なんと5300年もの歴史があります。ただ、今日のようにチョコレートとして楽しまれるまでは、貨幣に使われたり、「豚にふさわしい」と批評されたり……と、至難の歴史がありました。

そこで、本稿ではカカオの歴史秘話を遡っていきたいと思います(本記事は、市川歩美氏著『味わい深くてためになる 教養としてのチョコレート』から一部抜粋・再構成してお届けします)。

カカオの歴史を書き換える大発見

カカオ5300年の歴史――。ここまで長い歴史があることがわかったのは2018年と、つい最近のことです。それまでは、カカオと人類の関わりは4000年ほどだとされていました。

そして、人類がカカオを味わいはじめたのは、メソアメリカ(メキシコの一部、ホンジュラス、ベリーズ、グアテマラ周辺)だった、といわれていたのです。

しかし、その定説を覆す大発見がありました。

2018年に、カナダとアメリカの専門家を中心とする研究チームが、エクアドル南東部のサンタ・アナ・ラ・フロリダ遺跡で、紀元前3300年頃に作られた、カカオが入った飲み物用の器を発見したのです。これによって、カカオと人類の歴史は、およそ1300年も長くなりました。

しかも新たに、カカオのルーツは中米ではなく南米だったことがわかりました。歴史が書き換えられたのです。

カカオのルーツについては諸説ありますが、一般的には南米のアマゾン川上流とされています。カカオの故郷は南米であり、人類がカカオを食用目的で利用しはじめたのもエクアドルであったことが確認されています。

その後、カカオは南米から中南米へと伝わっていき、メキシコで作物として栽培されるようになりました。

古代メキシコとカカオには、深い関わりがあります。メキシコ湾岸地域ではオルメカ文明、ユカタン半島ではマヤ文明、そして内陸部ではアステカ文明が栄えました。いずれも高度な古代文明です。

神々への捧げ物としても使われていた

それらの文明において、カカオは非常に貴重な存在でした。今でこそチョコレートは私たちの日常的なおやつとなっていますが、もし私たちが当時のメキシコに生まれていたら、気軽に楽しむなんてとんでもない! カカオを口にできたのは、王族や特権階級の人々だけでした。

また、神聖なものとされていたため、神々への捧げ物としても使われていました。カカオは特別で高価なものだったので、一般の人々がカカオを味わう機会はなかったのです。

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