「松平定信が激怒した」江戸の創作者の悲惨な最期 重三郎とも仕事をした喜三二と春町だったが
東洋経済オンライン / 2025年2月9日 9時30分
NHK大河ドラマ「べらぼう」で主役となった、蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)。重三郎は20代前半で吉原大門前に書店を開業し、書籍の販売と出版をスタート。浮世絵師などクリエーターを巧みにプロデュースし、「江戸のメディア王」として名を馳せた。一体、どんな人物だったのか。また、重三郎が活躍したのがどのような時代で、どんな歴史人物と接点があったのかも気になるところだ。江戸時代中期に花開いた町民文化や、時の将軍の徳川家治および側近らの人間関係とともに、この連載で解説を行っていきたい。連載第6回は、老中松平定信を激怒させた、江戸の人気創作者の悲惨な最期を解説する。
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遊女を地理に見立てた奇書をプロデュース
吉原で生まれ育った蔦屋重三郎は、少しでも客を呼べればと躍起になったのだろう。安永3(1774)年に『一目千本』(ひとめせんぼん)の刊行に踏み切っている。
【写真】重三郎は朋誠堂喜三二と共に様々な作品を世に出す。写真は『娼妃地理記』
人気絵師の北尾重政に絵を依頼し、各店の上級遊女である花魁(おいらん)の名を、実際にある花に見立てながら紹介した。これが、重三郎にとって初めての出版物となった。
その翌年に手がけたのが、『急戯花之名寄(にわかはなのなよせ)』だ。遊女の紋が入った提灯と桜花を取り合わせて描きながら、遊女についての短い評を添えており、どんなタイプの女性なのかが、よくわかりやすくなっている。
『一目千本』も『急戯花之名寄』も、掲載を希望する遊女や馴染み客から出資を募った入銀本だったと考えられている。
もっと読者を楽しませながら、遊女について知ってもらいたい――。2冊の遊女評判記を経て、そんな思いを強くしたようだ。重三郎は安永6(1777)年から戯作者・朋誠堂喜三二(ほうせいどう・きさんじ)とともにさまざまな出版物を世に放つ。
その皮切りとなったのが『娼妃地理記』(しょうひちりき)だ。吉原の各町を一国に見立てながら、さらに遊女屋を郡、遊女を名所になぞらえて、まるで地理書のように吉原を案内していくという、大まじめにふざけた秀逸な戯作である。
このとき喜三二は「道蛇楼麻阿」という筆名を使っている。なんだか厳めしい名だが、読んでみれば「どうだろうまあ」。なんともふざけた筆名が本書に見事にマッチしているのだから、さすがだ。
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