山火事にならない?「野焼き」が現代に復活の理由 春を告げる野焼きは全国で100カ所以上で実施
東洋経済オンライン / 2025年2月9日 7時15分
かつての野焼きとの違いは?
野焼きは、雨や強風など天候条件に左右される点が難しい。地域ごとに行われていたかつての野焼きでは、天候の様子を見て地域で作業時期を決めて集まる。イベントとして参加者を募って行われる場合、臨機応変な期日変更ができない。
小貝川河川敷の野焼き現場から西に約8キロ離れた菅生沼では、近くにあるミュージアムパーク茨城県自然博物館が主催し地域の団体と協力して、2003年1月から野焼きを実施している。「絶滅危惧種のタチスミレの個体数増加が目的でした」(学芸員の伊藤彩乃さん)という。
今年は1月26日に菅生沼の河畔で行われた。草を刈って防火帯を作り、6区画に分けて火入れを行ったが、前々日の雨が響いて着火後にうまく燃え広がらなかった。博物館の募集に応じた約170人がいったん解散した後、作業に慣れたメンバーが燃え残った範囲の草を刈払機で刈り、集めるなどして燃やし切った。
博物館が現在把握している希少な植物は、環境省のレッドリストの6種、茨城県のレッドリストの7種。来年度から本格的な植生調査を行う。
アメリカ、欧州、オーストラリアでは、たびたび山火事が起こる。そのため、英語でいうとFire Ecology、日本語にすると火生態学という研究分野がある。建物火災とか車両火災ではなく、焼き畑、山火事、野焼きなどによる火と自然の関係を扱う。
一方、湿気の多い日本では、山火事が発生することはまれだ。したがってFire Ecologyの研究者はほとんどいない。岐阜大学流域圏科学研究センターを2022年に退職した後、北海道東部の小清水町に移住して研究を続ける津田智さん(68歳)(理学博士)は、日本での第一人者だ。山火事跡地の植物群落や野焼きによる植物への影響について研究してきた。
津田さんによると、日本全国で野焼きを行っている場所は、約100カ所、数え方によっては100カ所以上になる。秋田県寒風山などこの10年で復活させたところや静岡市の麻機遊水地など新たに始めた場所もある。目的は様々。草原景観の維持や絶滅危惧種の植物の保全のほか、伊東市の大室山など伝統的に行われてきた山焼きが観光資源になっている場所や、観光客に人気のワラビの生育のために始めた地域などがある。
野焼きで植物に悪影響はない?
野焼きによるメリットは、どこにあるのか。植物に悪影響はないのだろうか。野焼きの科学的メカニズムを、津田さんに説明してもらった。
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