山火事にならない?「野焼き」が現代に復活の理由 春を告げる野焼きは全国で100カ所以上で実施
東洋経済オンライン / 2025年2月9日 7時15分
「草原に火が入ると、地面を覆う枯草や植生が焼失する。灰が降り、窒素、リンなどの栄養塩類が増加する。野焼きで熱が発生するだけでなく、焼けた跡が黒くなり、直射日光が当たると地温が上がる。そうすると、硝化細菌が活性化して大気中の窒素を固定し、植物が利用しやすい窒素分が増える。熱の発生により種子の発芽が促され、地面を覆う枯草がなくなるので植物がよく育つようになる」
「野焼きにより、地表は高温になる。地上30センチのところで、ススキ群落の場合、最高700度、ヨシ群落で最高850度と高温を記録する。一方、地下2、5、10センチで測定したところ、ほとんど温度は上昇しないことがわかった。地下の根っこや地下茎が生きているので、例えばススキの群落を燃やした後に再びススキの群落が育つのです」
津田さんが火入れを行った場所と行わなかった場所の1㎡当たりの植物の個体密度を調べたデータは、野焼きを行うことで生物多様性の高い質のよい草原になることを明確に示している。
連鎖する野焼きの復活
小貝川と菅生沼の野焼きの両方に参加した森林塾青水の活動拠点は、群馬県みなかみ町藤原の上ノ原高原。もともと入会地だったススキの草原とミズナラの林計21ヘクタールをみなかみ町から借り受け、野焼き、茅刈り、茅葺屋根の建物を再生するプロジェクトなどへの出荷といった作業の都度、約50人が集まって活発に活動している。
小貝川、菅生沼、上ノ原高原で野焼きが始まったのは、小貝川が2000年1月、菅生沼が2003年1月、上ノ原高原が2004年4月だった。森林塾青水の創設メンバーで顧問の清水英毅さん(83歳)は「われわれの活動拠点は利根川上流域にあります。同じ利根川水系の小貝川や菅生沼の野焼きから多くを学んでいます」と語る。
長い休止期間を経て、各地で野焼きが再開、もしくは始まった背景には、こうした水系ごとのノウハウの伝授や用具の貸し出しなどのサポートがある。
この10~20年で新たな形で行われるようになった野焼き。どんな目的を持ち、どんな工夫のもとに続けられているのか。また紹介したい。
河野 博子:ジャーナリスト
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