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ドイツ総選挙・極右と極左の2人の女性党首に注目 2月23日投票、AfDとBSWはどこまで躍進するか

東洋経済オンライン / 2025年2月9日 17時0分

彼は戦後ニュールンベルク裁判で10年の判決を受け服役したが、1951年減刑され、天寿を全うする。

しかもこのクロシックの祖母は、あのカール・マルクスの妻イェニー・フォン・ヴェストファーレンの母違いの姉である。共産主義者とナチス、奇妙な取り合わせだが、この元財務大臣は『大きな炎の時代』(Die Grosse Zeit de Feuers)という3巻本の厚い書物を書いている。

その第1巻(1957年)最終章は、「自由の夢と平等の宣言」である。副題は「1848年革命。ラサール、マルクス、エンゲルス」だ。その最後に自らの先祖であるマルクスの妻、イェニー・フォン・ヴェストファーレン(1814~1881年)についても言及している。

彼はマルクスの妻が貴族の出身であること、そしてマルクスが、祖国ドイツに愛と憎悪の両面をもっていた屈折した人物だったことを強調する。

確かにマルクスの妻の家系は保守的なドイツの官僚貴族が多い。たとえば1850年代のプロイセンの内務相だったフェルディナント・フォン・ヴェストファーレン(1799~1876年)である。

マルクスの親戚にも、オランダの世界的電機会社フィリップスの創始者である大ブルジョワ、フィリップス家の人々がいる。ベアトリスは貴族の血を引いている。AfDの中にある、ある種ドイツの伝統的流れは、ドイツの旧貴族の流れから来ているともいえる。

しかし、そうした流れは一部の人々には受け入れられても、ここまで多くの人から支持を得ることはあるまい。すでに2021年にAfDは10%の票を獲得し、今回の選挙の事前調査でも、現状でAfDは得票率20%を確保しそうな勢いだ。

それによると、ドイツキリスト教民主同盟(CDU)は30%であり、現在の与党であるドイツ社会民主党(SPD)と緑の党はそれぞれ17%、14%である。すでに政権を揺るがす位置にいるといってよいだろう。

もちろん、政権をとることは難しいだろう。おそらく、メルケル最後の政権の時のように、SPDとCDUの大連合が再来するかもしれない。ドイツは1党が過半数をとることのない国であり、いずれかの党との連立しかない。そうなるとAfDの議席数は、大きな台風の目になることは間違いない。

こうした拡大の背景には、アリス・ヴァイデルの存在も大きい。硬直的な保守的思想の持ち主ではないアリスには、ソフトなイメージがつきまとう。それは彼女は政治家よりも、官僚あるいはビジネスウーマンに似ているからである。

旧東ドイツ住民からの支持で拡大

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