ドイツ総選挙・極右と極左の2人の女性党首に注目 2月23日投票、AfDとBSWはどこまで躍進するか
東洋経済オンライン / 2025年2月9日 17時0分
ヴァイデルの一族は、第2次世界大戦後のポーランドのシレジアから追放されてドイツにやって来た。その意味で東の匂いがする。
AfDは2013年に創設された新しい党であり、反ユーロ主義から次第に反移民政策やドイツ民族主義へと進んでいった党だが、その発祥の地は旧東独のドレスデンであり、そこから次第にドイツ全土に拡大していった。
1990年の東西ドイツ統合の後、経済的不平等を抱える旧東ドイツでこの党が伸びたのは当然のことだった。旧東ドイツという弱い経済力、ドイツでありドイツでないという負い目、東から押し寄せる移民、これらが不満として今も爆発しているのである。2024年9月1日に行われた東ドイツ地域での選挙でも大幅に躍進していた。
アリスをAfDと結びつけているのは、移民政策だ。とりわけ年金システムの問題である。その意味でアリスへの人気はドイツ経済復興と結びついていて、極右の愛国主義や移民排斥運動に基づいているわけではない。その意味で、多くの票を得られるともいえる。しかし、そのぶん、本来のAfDと折り合いがどこまでつくのかが問題だ。
もう1人注目を集めているのが、2024年に設立された新党であるザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟=理性と公正のために(BSW)の党首ザーラ・ヴァーゲンクネヒト(1969年~)である。
この政党は、「左翼党」(リンケ)から分離した極左政党だ。その党首であるザーラは、党の名前に自らの名をつけたのだ。日本の石丸新党の「再生の道」に似ている。しかし、ザーラは革新的マルキストで、党は新しいマルキストの党とでもいえるものである。
革新的マルキストの新党党首
ザーラもアリス同様、博士号を持つ高学歴者だ。彼女は、修士課程でマルクスのヘーゲル批判に関する修士論文を書いていて、これは出版されている。『頭から足へ』(1997年)というタイトルで興味深い論文だ。
マルクスの『経済学・哲学草稿』のヘーゲル批判を後期のマルクスから読み直すことで、マルクス主義をエンゲルスの呪縛から解き放とうというものである。
彼女は左翼党にいたのだが、2024年に新しい政党をつくり飛び出した。すでにSPDはマルクス主義を放棄した政党だが、左派党のマルクス主義も彼女にはいただけないと思われたのであろう。
J・カールの『ヴァーゲンクネヒト党』(2023年)の冒頭では、マルクスの『共産党宣言』の冒頭の文章をとってこう述べられている。「ドイツでひとつの亡霊がさまよっている。それはザーラ・ヴァーゲンクネヒト党という亡霊である」と。
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