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真の読解力を鍛えるために真っ先にするべきこと 読解力を構成する「3つの力」とは?

東洋経済オンライン / 2025年2月11日 16時30分

さて、先ほどの文章の場合、たとえば最後の一文について問いを立てると次のようになる。

──問い「『今・ここ』の中に閉じこもる必要がある」とあるが、なぜそう言えるのか。

真の読解力とはどのようなものか?

今は問いを作る話をしているのだが、一応答えも示しておく。答えは、「私たちは、時間と空間を超越する想像力によって苦悩を味わうことになるから」などとなるだろう。

ともあれ、こうした問いを自ら作り、その上で答えを出すこと。それができてこそ、真の読解力があると言えるはずだ。他者に与えられた「問い」に答えているだけでは、真の読解力とは呼べない。

読み解くべき対象は、文章だけではない。表、グラフ、図、イラスト、漫画、写真・画像、あるいは音声、映像。これら全てが、読解の対象である。しかし、そうした幅広い対象、すなわち世界には、そもそも傍線は引かれていない。したがって、真っ先にすべきことは傍線を引くかのごとく問いを作ることであり、獲得すべきはそのための技能である。

あらゆる対象について、問いを発する力。私はここで、それを「発問力」と名づけたい。

結論から言うと、世の発問という発問は、わずか3つに集約される。

発問力の三類型

①どういうことか? と問う力

②どう違うか? と問う力

③なぜか? と問う力

もちろん表現はいろいろありうるが、本質的にはこの3つにまとめられる。発問力とは、「世界」をいつもこの3つの見方で眺め、どこにでも「傍線」を引いて、問いを生み出す力である。そして、この「発問力」は、「読解力」と表裏一体になっている。読解力は、次の3つに定義できる。

読解力の三類型

①言いかえる力……同等関係整理力

②くらべる力………対比関係整理力

③たどる力…………因果関係整理力

円が重なり合ったところは、2つまたは3つの技能が同時に求められるということを意味する。

「黄色い」「果物」のバナナ

「どういうことか?」言いかえる力──同等関係整理力

バナナを例に取ってみよう。「バナナ」を「黄色い果物」に言いかえるのは、抽象化。「甘い」「黄色い」「果物」「長細い」「房の形状」などといういくつもある特徴から「黄色い」と「果物」を選んで引き出し、同時に他の特徴を捨てる。なお、抽象する際の「捨てる」という側面に注目すると、それは「捨象」とも表現できる。

まとめるとこうなる。

抽象化とは、固有の特徴を引き出すこと。固有の特徴を減らすこと。

具体化とは、固有の特徴を与えること。固有の特徴を増やすこと。

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