「フクシマ論」筆者が仕掛ける福島ツアーのうまさ 参加者が口にする"頭でっかちではない魅力"
東洋経済オンライン / 2025年2月11日 14時0分
「コロナ禍に見舞われていたときでも、ここ、東日本大震災・原子力災害伝承館には全国から当初想定の1.5~2倍近くの訪問客が来ていたんですよ」
こう語るのは、社会学者で東京大学大学院准教授の開沼博氏。2011年3月11日に発生した東日本大震災当時、彼はまだ東大の大学院生だったが、震災からほぼ3カ月後という“絶妙”なタイミングで著書『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)を出版。大きな注目を集めた。
その後、開沼氏はネットの世界に渦巻く被災地関連の風評やウソ、誹謗中傷などに着目。それらを収集分析して論文を発表するなど、震災後の福島をめぐる状況を“書斎”から冷静な眼で見つめ続けてきた。だが、ここ数年は「行動する学者」へと舵を切り、自ら「福島ブランドの再構築」を目指し、官民を巻き込んだ活動に力を入れている。
修学旅行や家族旅行、訪日客も訪れる伝承館
現在、開沼氏が上級研究員を務める東日本大震災・原子力災害伝承館は2020年に開館。立地する双葉町には2011年に事故を起こした福島第一原子力発電所があり、近隣の建物の屋上からは原発の排気筒も鮮明に見える。開沼氏は語る。
「原発の敷地から、わずか数キロメートルの距離です。事故時の風向きの関係で放射線量は低かったのですが、かつての避難指示エリアの目と鼻の先。さらに、交通の便も決していいわけではない。にもかかわらず、全国の中高生の修学旅行や大学のゼミ、社会人の研修や家族旅行などで多くの人が訪れ、さらに近年では広島・長崎を訪れるような意識の高いインバウンド観光客も増えてきています」
数年前には外国人迷惑系YouTuberによる配信が話題になったこともある。ただ、インバウンド観光客の大部分を占めるのは、世界史に残る負の遺産や災害からの再生を学ぼうとやってくる外国人だ。
「15年という時間軸は、忘却と冷静さとの両方をもたらしました。多くの人にとってはもう過去のことですが、関心をもって調べてみると、この地を訪問してみたくなるような魅力が生まれていることにも気づく。災害の痕跡もそうですが、食であり、人であり、再生の中で見出された新たな文化もその1つです」(開沼氏)
地域の魅力の説明責任を要求された地域
開沼氏はそうした魅力の真髄に触れる機会をつくろうと、大学で教鞭をとる合間をぬって、多くの人のツアーガイドを買って出ている。まず案内するのが「酒づくり」だ。
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